華奢な吊橋の掛かる大きな川沿いに佇む、茶色い屋根に生成り色の外壁の一軒家があたしの住まいらしい。
からりと晴れた日。
休日だったのか、川沿いには笑顔が咲き乱れていた。
我が家を見上げ窓枠に目をやり、 ここは何の木だと疑問を抱いた瞬間が妙に記憶に残っている。
そして更に目線を上げ、家を越えて続く空を追ったその先に見えたのは、燃え盛る炎だった。
お母さんが云う、「大事なものは全部お父さんが取りに行ってくれたから。」と。
明かされずとも理解した、それが携帯電話だということ
家を出してもらってからの主な交流手段は正に携帯電話だった。
ひとりでは乗り越えられない時、楽しくて仕方ない時、何にも追われていない時、多くの時を一緒に過ごさせてくれた…確かに大事なものだ。
お母さんはいつだって、連絡を頼りにしてくれている。
できれば元気な声を、楽しみにしていてくれている。