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「ゆめ・ひらひら」
散るために咲く花などない。と、
うそぶきつ、ふりむけば
かすみの空に、なみだひらひら
「ゆめ・ひらひら」

「ゆめ・ひらひら」

 ー第一話『キャプテン』最終話


#わかれてゆく道


「さあーーっ!

とってるのか!ホリィィ・・・!」



「F中は勝ったのか?それとも・・!」





「とってましたあー!

アウト、ゲームセットーっ!

F中県大会初優勝!」



・・・ハイタッチをした時に、

オオタの肩が上がっていなかった・・。


案の定、オオタはこの大会で

肩を痛め、全国大会は初戦5-0で

大敗を喫した。


夏の大会が終わると、

ぼくたちは”日に焼けた””出遅れ”の

”ふつう”の「受験生」となった。

バッテリーサインを書いていた

単語帳に英語を戻して、

バットやグローブの代わりに参考書や

問題集をバッグにしまい、

すぶりだこの手で鉛筆を握った。


そんな夜、美奈子に呼び出された。

あの神社だった。


神社に行くと、オオタがいた。

「よお、ひさしぶり・・か?」

「ああ。3日ぶりだよ。」

10歳からバッテリーを組んでると

3日も顔を見ないなんて、

一度もなかった。

「うかぬことをきくが・・」

「つかぬのか?」

「へ?そ!そっち。

いつから気づいてた?」

「あ、美奈子のことか?」

「ちがうくって!肩のことだ。」

「それなら10歳のときから・・・」

「ふざけてんの?」

「いいや。お前はいつも力任せで

投げ込んできて、肩を”いわす”。

無意識のうちに左肩が上がる。

自分の影を見てみろ。」

「おまけにそのことを

ごまかそうとすると・・・

ほれ、左の眉毛まで上がる。」



「な、なるほど。」

「監督と相談した結果、

お前が自分で言い出すまで

ほっといてもらうことにした。

言えば無理やり変化球にはしる。

そしたら、その肩は・・・

たぶんおわりだ。

いまの状態なら冬の間休めれば

来シーズン、投げられる。

ただ、来年は硬球だ。

重くなる。気をつけろ。」

「おまえ、そこまで・・。

ま、そうだな!来年はお前やホリを

きりきりまいさせなくちゃ・・・」

「おれは、高校では野球をやらない。」

「えっ?」

「医者になる。

おれの頭ではハンパじゃ無理だ。

となりのY市の予備校に

放課後、通おうと思う。

だから、部活はできない・・。」

「・・・・・・。

そうか、わかった!

じゃあ。俺は商業から

F信用金庫へ勤めて

えらくなって、

お前が病院建てるとき

金を貸してやろうぞ!」

「それは、ありがたい!

では、えらくなるために

たくさん預金を集めなきゃ。」

「う、うむ。」

「甲子園だ。

地元で有名になれる。」

「おいおい・・。」

「「ドロップ」だ。

140kmの速球と

この落ちる球があれば、勝てる。」

「まてよ。」

「そのためには、いまさぼっている

夜の走り込みと

シャドウピッチングを

今から再開すべきだ!」

「い、いまからだあ?」

「F信用金庫支店長を目指して!」

「ちっさい!頭取じゃあ!」

「行くぞ、背番号”1”!」

「あいさああ!”キャプテン”!」


どこへむかって、なんて

考えもしなかった。

とにかく走り出さなくては

ならなかった。


神社のどこかに

美奈子が来ているであろうことも

感づいていたが、

悪いがどうでも良かった。


毎日が、楽しくて、不安で

笑顔のウラに涙を

いつも準備していた、

残酷なほどに純粋だった日々。

いつもお前がとなりを走っていた。

春も、夏も、秋も、冬も。


わかれてゆく道を

満月が照らしていた。


ぼくたちは”少年”を

         卒業します。


「ゆめ・ひらひら」

  第一話「キャプテン」


      ~おしまい~


まいどのことながら、更新が遅くて・・。

なのに、いつもアクセスしていただき

ありがとうございます。

いま、この「紙芝居ブログ」を

動画にしようと思っています。

こう、ご期待!