きるちょっと前


工場長に教えてもらいながら

新しい機械で

新しい試作



幾つも造り並べながら

なんとなく話しをしていると

周りは中学の同級生

歌を作るのだという


皆が書いた詩と

皆が想い浮かべた曲が

それぞれ選ばれて

静かに合唱が始まった


そんな

皆の横顔をちらりとみて

部屋の前を過ぎた


歌声の中にはひとりだけ女性がいて

誰かがその人の様子を撮った


見せてもらった

その人は

七色に変わりながら

ゆっくりと

こきざみに歌っている


”見ちゃダメ!!”


突然その人が目の前にあらわれて

少し冷たい手のひらが自分の目を覆った


ほんの僅かな時だけ

笑顔が見えた









自分よりは若いだろう

それだけが明らかな

初めてみる顔

でも

笑ってたのだけが

うれしかった