真夏の恒例となったひとり旅の2日目は世界遺産に登録された熊野三山を巡ります。

2日目の出発地点は新宮駅。

新宮駅前には童謡「鳩ぽっぽ(正しくは「鳩」)」の歌碑と餌に群がる鳩を目にすることができます。

というのも、新宮市は「鳩ぽっぽ」の作詞をした東くめの出身地。

東くめと聞いても「ふーん。」と全くピンとこなかったんですけれど、歌碑を見ていてわかったことは「鳩ぽっぽ」を作曲したのって、滝廉太郎なんですね。

こんな童謡までも作曲しているなんて知りませんでした。

きっと、幼い日に耳にした曲のなかで気がついていないけれども、彼が作曲した作品がたくさんあるんでしょうね。

東くめの出身地で、なぜか滝廉太郎に思いを馳せてしまうのでした。。


そして、新宮市といえば、不老長寿の霊薬を求めて上陸をした徐福伝説が残る街でもあるとのことで、駅から程近いところにある徐福公園を訪れました。

ガイドブックなどの写真を見ると大陸風の色鮮やかな楼門が建っていて、結構すごい公園なのかなと思っていたのですが、着いてビックリ!

予想以上にちっちゃい。。

しかも、徐福公園がこの地になぜ建てられているのかを紹介した立板の内容がまたいいんです。

“徐福が不老長寿の霊薬を求めて渡来した土地はおそらくこの地で間違いない。断言することはできないが、そう信じることは大切なことである。(正しい内容は現地で要チェック!)”。

「なんでもありじゃね?!」と思えなくもない内容にひとり爆笑。。

よくよく読むと秦の始皇帝の命で不老長寿の霊薬を求めて渡来したことを記した文書などを読み解くと新宮にあてはまるってことらしいので、100%ではないけれども真実味は強いようです。


熊野速玉大社 徐福公園の次は熊野三山のひとつである熊野速玉大社へ。
そもそも熊野三山というのは、熊野速玉大社を含め、熊野本宮大社と熊野那智大社の総称で、熊野とは地の果て“隈野”、神々が住まう国、黄泉の国として崇められた聖地のことらしく、伊勢が天皇の神であるのに対して、熊野は人生の新たなる回生を願う庶民の信仰の地なのだそうです。

そういう意味でも、新たに生まれ変わろうとしている今の自分にぴったりな場所なのであります。

熊野速玉大社は国産みの神であるイザナギから誕生した主神を祀っていて、境内には樹齢千年といわれるナギの大樹がありました。

早朝ということもあって、参拝客もいなく静寂が漂う空間でした。


石段を登るとそこは絶景でした☆ 速玉大社の参拝の後は、速玉大社の旧社地であった神倉山にある神倉神社に訪れました。

なんと、この神倉神社の社殿は断崖絶壁にあり、そこまでいくには530段ばかりの石段を登らなくてはいけないのです。

ただの石段だけでも辛いのに、急で曲がりくねっていて石段を下から見上げると気がめいってしまいます。。

けれど、「気力と根性の体力勝負な旅」を自称しているもんで、せっかく来たからには登らないといけませんよね。

石段を見て参拝をあきらめる観光客を横目に出発し、せっせと石段を登ると目の前には社殿と御神体の巨岩ゴトビキ岩が姿を現しました。

しかも、頂上は新宮の街を見下ろせる絶景ポイントで、本当に苦労して登ったかいがありました。

それにしても、この神倉神社では毎年2月にお燈まつりが行われ、男達が激しく燃え上がる炎を持って石段を駆け下りる火祭りが有名とのこと。

あんな険しい石段を走り下りるだけでも大変なのに火を持ってだとそのすさまじさは想像をはるかにこえる迫力なんだろうなと関心を抱いてしまいます。

神倉神社を訪れた後は、自然がつくりだしたちょっぴり不思議な場所に行きましたよ。

そこは、浮き島の森といって、沼の中に島ができていることもあって浮遊感を味わえるところなのです。

ちなみに国の天然記念物に指定されているんですよ。

島内に整備された遊歩道を歩いて植物などを観賞することが出来るのですが、沼に腐葉土が堆積して島になったということなので、遊歩道から足を踏み外したらそれまで・・・。

底なし沼にはまって命を落とすことになりかねないみたいです。

それこそ、島に薪を拾い集めにいった少女が蛇に飲み込まれて底なし沼に消えていったという伝説を休憩所にいたおじいさんが教えてくれました。

他にも浮き島の森の歴史について話してくれて、こういう些細な出会いも旅ならでは。

一期一会の出会いも大切にしたいですよね☆

熊野シンボル「ヤタガラス」 再び新宮駅に戻り、今度はバスに乗って熊野本宮大社へ向けて出発します。
青々とした山々と透きとおった水が美しい川を見ながらバスに揺られて1時間で熊野本宮大社へ到着。

熊野本宮大社といえば、熊野信仰の発祥の地でもありますが、もうひとつ立ち寄っておきたい理由があるんです。

というのも、熊野本宮大社に到着して、まず目にするのが“3本足の烏”が描かれた旗。

“3本足の烏”と聞いて思い浮かべるものはありませんか?

そうです。日本サッカー協会のシンボルでも有名な「ヤタガラス」です!

どうしてサッカー協会のシンボルにヤタガラスが使われたのかはわかりませんが、ヤタガラスは熊野権現の使いで、熊野三山のシンボルなのだそうです。

そんなこともあり、全国からサッカー選手が参拝に来ることがあるみたいですよ。

境内には日本代表グッズやサッカーのお守りなども売っていました。

もちろん、ボクもお参りをして、お守りもちゃんと買いましたよ。

サッカーがうまくなるといいんだけど。。

熊野本宮大社を参拝した後は、熊野本宮大社が現在の場所に遷宮する前に本宮があった大斎原にいきました。

大斎原の入口ある大鳥居は日本一大きいとのことなので必見です!


大迫力!那智の大滝 再びバスで新宮駅に戻り、残る熊野三山のひとつ熊野那智大社を訪れるため、列車に乗り込み那智駅を目指します。

駅からはバスに乗って熊野那智大社の周辺まで行けるのですが、バス停から熊野那智大社へは石段が延々と続くので多少の覚悟が必要。

けれど、那智大社をはじめ、落差133㍍を誇る大迫力の那智の大滝や、朱塗りが美しい三重塔がある那智山青岸渡寺をみたら疲れも吹き飛びますよ。

特に三重塔と那智の大滝を一緒に眺められる絶景は言葉にはできない美しさがあります。

熊野那智大社からの帰りは苔むした杉木立に囲まれた大門坂を歩き古道歩きを体験。大門坂を歩く。

1㌔にも満たない短いコースではありますが、初心者にはもってこいなので疲れている身体にムチを打ってでも歩く価値はあります。

ただし、行きと違うバス停を利用するので時間をきちんと計算しておかないと乗り過ごす恐れがあるので前もって調べておくといいと思います。

事実、写真を撮りながらゆっくり古道の雰囲気を堪能していたこともあり、バスの発車時刻ギリギリになってしまったため、全力で走るはめになってしまいましたから。。
もっと時間があれば、本格的に古道を歩いてみたいんですが、それはまた次の機会にということで、楽しみは後にとっておくことにします。

こうして、急ぎ足ではありましたが熊野三山というパワースポットを巡ることができ、またしても何か見えない力に癒されたような気がします。

ていうか、かなりの数の神社を参拝しているけれどもご利益はあるんですかね?!

そんな心配を抱きつつ、那智駅より紀伊田辺駅へ向かいましたとさ。


3日目へ続く。