「砂時計」(08年・日本)


監督:佐藤信介

出演:松下奈緒、夏帆、井坂俊哉、池松壮亮、塚田健太、岡本杏理、戸田菜穂、高杉瑞穂、伴杏里、風間トオル、 藤村志保
上映時間:121分

評価点:7/10

コメント:

<ストーリー>

両親の離婚で東京から母の実家がある島根県に移住してきた14歳の水瀬杏(夏帆)は、田舎特有の雰囲気と祖母になじめずにいたが、同い年の北村大悟(池松壮亮)らと出会い自分の居場所を見付けていく。

それから12年後、東京で暮らす26歳になった杏(松下奈緒)は同窓会に出席するため、初恋の相手である大悟(井坂俊哉)が住む島根を訪れる。(シネマトゥデイより)


人気コミックの映画化ということですが、以前にもTVドラマ化されるなどその内容は折り紙つきというところなんでしょうか。

出演俳優の顔ぶれといい、結構期待を抱いての鑑賞となりました。

予告版などを観た印象では、初恋の相手をお互いに想い続けるピュアなラブストーリーかなと思っていたのですが、どちらかというと水瀬杏というひとりの女性の生き方を描いた物語のような気がしました。

もちろん、そう感じるのも2人の甘くて切なく、瑞々しいやりとりが土台にあるからですが。

本当に幼少の水瀬杏(夏帆)と北村大悟(池松壮亮)の関係はこそばゆいけど心を温めてくれて好きです。

特に大悟の不器用ながらも武骨で一途な田舎の男子臭さが堪りません。

ちょっぴり悲劇のヒロインぶってる感も否めない水瀬杏を側で守ってあげるその姿は日本男児の鏡でしょう。

『夜のピクニック』ではメタクソけなしましたが、池松壮亮は良い演技していたと思います。

そして、夏帆も東京から田舎に越してきた訳あり少女を好演していました。

彼女は『天然コケッコー』で島根の田舎の少女を演じていましたが、都会的だけど田舎の自然もしっくりはまってしまう不思議な魅力を持っていますよね。

ともかく、この作品が予想以上に良い印象を持つのは夏帆と池松壮亮の頑張りによるところが大きい気がします。

もちろん、松下奈緒と井坂俊哉がその若手2人のイメージをそのまま引き継いで、しっかりラストを締めくくっていることは言うまでもありませんが。

幸薄い女性がなぜか妙に板につく戸田菜穂の抜群の演技を含め、観ても損はない作品だと思います。