「それでもボクはやってない」(07年・日本)


監督:周防正行

出演:加瀬亮、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ、役所広司、田中哲司、光石研、尾美としのり、田口浩正、清水美砂、 竹中直人
上映時間:143分

評価点:9/10

コメント:


<ストーリー>

会社の面接に向かう金子徹平は、満員電車で痴漢と間違われ逮捕された。

取調べで無実を主張した彼だが、ついに起訴され裁判が始まる。

しかし、新米弁護士の須藤莉子は、被害者と同じ女性として徹平の弁護を嫌がる。


「疑わしきは罰せず」

この言葉、法律を学んだ人はもちろん、法律に触れたことのない人でも、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

つまり、決定的な証拠がない限り、被告人の有益にするという考え方です。

けれど、そのような場合にあっても実際の裁判で裁判長が無罪という判決を出すことは稀であり、その原因の根底が官僚組織の問題に繋がっているなんてこと思いもしませんでした。

劇中、無罪判決をだすことは検察、警察が間違っていたことを意味し、いわば国家にたてをつくことになるという言葉が重く圧し掛かります。
何より、思った以上に無罪を立証することの大変さや、裁判をすることによって、辛く厳しい日々が続くことになることを教えてくれます。

痴漢冤罪事件は司法のすべてが詰まっているとの言葉通り、警察のずさんな捜査、司法の現実を描くなど確かに法律の教材として使ってもいい作品だと思います。

裁判になれば、真実が明らかにされるなんて考えが無くなってしまうほど、今日の裁判の現状を鋭く描いた社会派な作品です。

一切、笑いどころはありません!

この現実を受け止めたくない人は、キムタク主演の「HERO」でも観に行くのがいいでしょう。

まぁ、キムタクの凛々しい顔の隣に「真実」とデカデカと書かれたポスターが妙に薄っぺらく見えたのはいうまでもありませんが…。