『NANA2』(06年・日本)
監督:大谷健太郎
原作:矢沢あい
出演:中島美嘉、市川由衣、玉山鉄二、姜暢雄、丸山智己、本郷奏多、成宮寛貴
上映時間:130分
評価点:5/10
<ストーリー>
ナナがボーカルを務めるバンド、ブラストはメジャーデビューに向けて充実した日々を送っていた。一方、ライバル・バンド、トラネスのリーダーと関係を持ってしまったハチは、そのことをナナに打ち明けられずにいた。
コメント:
主要登場人物のキャスト変更や今作で完結になってしまうなど、制作にいたるまでのドタバタ劇のイメージが強いためか、個人的には、当初の華々しい計画が散ってしまったというか断念せざるを得なくなってしまったような、どこか漫画の連載打ち切り時に漂う物悲しさを感じずにはいられませんでした。
そんなためか、同情に近いやさしい目で観てしまうわけです。
市川由衣がどんなに主役としての華やかさに欠けていても、演技が下手でもその姿を不思議と許してしまえるんですよ。
でも、彼女は派手で軽いノリの役を違和感無く演じることができると思っていたのですが、全くといっていいほど板についていなかった・・・。
遠慮があるのか、はたまたこれが地の部分なのかはわかりませんが、宮﨑あおいよりもハチに近い色を出せるのではと期待していただけに残念。
他のキャスト変更については、蓮役を松田龍平から変更して正解だけど、変わった姜暢雄も魅力なし・・・。
彼が演じたからなのか、「蓮って、こんなにも影が薄いキャラクターだったっけ?」と思わずにいられないほど、作品からはじかれている気がします。
そんななかで何とか許せたのが、松山ケンイチから本郷奏多に変わったシンぐらいでしょうか。
正直、前作の松山ケンイチはないだろ・・・。と誰しもが感じていたと思うので出演を辞退されたことは不幸中の幸いというやつでしょうか。
といっても、本郷奏多がハマッていたとも思えないんですけどね。
それにしても、トラネスのメンバーであるレイラとヒロキの描かれ方が酷すぎやしないか?
トラネスのプロモ撮影の時にやっと登場したかと思ったら、あれはレイラというよりも伊藤由奈のPRに他ならないでしょ・・・。
そこでもヒロキは全く目立たず・・・。
原作では結構いいキャラ出してると思うんだけどな。
トラネスだけではなく、それはブラストでも言えることで登場人物のキャラクターが強いのに全くといっていいほど描かれていないから、バンド同士のライバル関係が結局伝わってこないわけですよ。
いかんせん、今作ではナナと蓮の関係を深く感じ取れる場面もないだけに全然因縁めいたものを感じることができない。
恐らく演じている役者さんにそこまで作品の比重を担えないと見込んだからなんではと勝手に想像してしまいます。
そんなこともあってか、映画では玉山鉄二と成宮寛貴が演じるタクミとノブのハチをめぐる因縁の方を強く描いているんですよ。
確かにこの2人なら安心して観ていられますよね。
けれども、彼らの頑張りと中島美嘉の健闘もむなしく、やはりB級な内容に仕上がっています。
ましてや、映画だけの完結とはいえ、連載中の作品のエンディングをあんな終わり方として流すのは納得しないでしょ。
唯一の楽しみはコミック同様、登場人物のファッションを観ることだけでしょうか。
キャストの力量と前作に比べて楽曲も振るわなければ、ただの“人気少女コミック”に逆戻りするのは当たり前。
普通のB級映画として考えれば満足なんですが、過大に注目されている分、それに見合った内容ではないと感じざるを得ません。