ようやく昼食休憩がとれた。交代のシフトの奴が遅刻したせいだ。僕の昼食はいつも決まっている。うち店の近くにある手作りハンバーガーだ。昼どきには、いつも行列ができる人気店だが、今はもう3時を回っているので楽に買えた。しかし、ドリンクを固定する箱がないとかで、手にドリンクを直接持たされることになった。この店と自宅は、目と鼻の先の距離であって角を曲がるとすぐだ。僕は、さっきの客のことを考えながら夢見心地で歩いていた。角を曲がったときだった。
「ベチャ」
どうやら、運悪く衝突したらしい。
「あっ、ごめんなさい」
「ヒッドイ…あっ」
「あれ!?」
何とさっきの客、いや、さゆみんじゃないか。こんなことでまた、再会するとは…
「ちょっと、どうしてくれるのよ!?」
「く、クリーニング代だしますから」
「それじゃ、遅いの!!これから仕事なんだから!!」
「あっ、それならうちであらいませんか?すぐそこなんですよ」
「…」
「やっぱまずいですよね!?」
「すぐそこって、どこ!?何メートル!?」
「えっと、18メートル。あの二階建てです。」
彼女は、ついてきてくれた。一軒家に安心したのかもしれない。僕の下宿は、二階建ての一軒家で一階に親戚の耳の遠い老婆がすんでおり、二階部分に僕がすんでいるわけだ。それから、大学の同級も1人格安で住ませてやっている。今は、大学へいっている時間のはずだ。