「申し訳ありません。お待たせいたしました。」
払込番号を入力する。
「えー、お会計、3989円になります。4000円頂き…」「あのー」
何だ。さっきの中年か。全く、大人しく待ってろよ。調子狂うな、今日は。「さゆみんですよね?ここにサインお願いします。」えっ!?ちょ!?さゆみんってまさかあの、さゆみんか!?てか、何で写真集を持ち歩いているんだよ。この中年は。僕が、混乱していると彼女は、慣れた手つきでささっとサインを入れた。
「ありがとうございます。ところで、何て書いたの?」
「モーヲタさん、あなたはブタ箱行きよって、書いたの」
「へー、ありがとう。ところで、アドレス交換する?」
「したい…でも、やめとく」
中年は、満足して去っていった。
「こういうことよくあるんですか?有名人の方って」「そうね、でも泥棒にサインしたのは初めてかも」
「あ、そうだ。よければこれ読んでください。魚包んだりするのに便利かもしれない。」
僕は、勝手に店の女性誌を袋にいれた。
「ありがとう。また、来ます」
彼女は、猛烈な暑さの店外へ歩いていった。