年金運用の見直し - 新聞一面より | 国内株式市場の考察

国内株式市場の考察

― 新しい市場理論と数式を生み出したい ―

皆が思う疑問。

「少子化なのに、年金どうなるん?!出るん?!」


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年金。



現在運用されている公的年金というのは、およそ110兆円らしいです。

これを"年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)"という機関が行っています。


GPIFは資本金が1億円、日本政府が全て出資して設立された機関ですが。厚生労働大臣が、ここに全て年金の運用を委託して行っています。



■■■ 皆さんの年金110兆円の増減も、このGPIFの投資手腕ひとつで決まるってことです。■■■



GPIFの資産(みんなの年金)運用成績を見てみましょう。



<平成23年度>

運用資産額  113兆6,112億円
収益額       2兆6,092億円
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収益率         2.32%


<平成24年度(第3四半期まで)>

運用資産額  111兆9,296億円
収益額      3兆5,949億円
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収益率         3.27%



ふーむ。個人的にはなかなか優秀だと思います。
年金を扱う以上、やはりハイリスクハイリターンな運用など当然出来ません。個人の株式投機じゃないのですから。
長期で安定したリターンを求める運用は彼らはしているわけです。

特に今年は安部政権の発足後、金融緩和の影響で株価は急上昇。GPIFの運用実績は、かなり高水準だったと言えるでしょう。
しかしながら最近は、株価の暴落とともに少し厳しい展開が続く見込みです。



GPIFの基本となるポートフォリオは以下の通りです。

国内債権  67%
国内株式  11%
外国株式   9%
外国債券   8%
短期資産   5%(多分、短期投資している)




さて。話し変わって、大荒れの国内株式市場ですが。

6/6(木)の深夜に為替は1ドル=96円も一時的に割りました。続いてシカゴ市場での日経先物も大きく売られました。

このままでは6/7(金)の朝、日経平均も大きく下がるのは必至です。
混乱気味の市場はますます混乱することでしょう。私のポートフォリオも大きく下がります。



6/7(金)、日経平均は前日比-197.61円の12,706円41銭から始まります。

前日深夜の為替と日経先物の影響で、ここからぐんぐん下がります。


そして13時20分頃、大手信託銀行の運用担当者は目を疑います。
急落していた株価の下げ幅がピタリと止まったのです。



『一体、なにが起きたんだ!』



その頃、市場には「GPIFの年金運用方針が15時頃に発表される」というニュースが一斉に伝わったのです。
ニュースの内容は分かりません。しかし市場関係者は、その内容を容易に想像できていたのです。



『株価を重視する安部政権が、公的年金に株を売らせるわけがない。株の保有比率を上げるに決まっている。』



12,548円20銭を最安値に、日経平均は急上昇。さっきまでの急落がまるで嘘のようです。
ついには前日比を上回る、13,106円20銭をマークします。

そこから少し売り戻りますが、最終的に日経平均株価は 12,877円53銭で一日を終わります。
暴落すると予測された、日経平均が前日比たった-26円49銭です。



$国内株式市場の考察




さて。
GPIFのポートフォリオ見直し発表は以下の通りです。

国内債権 67% → 60%
国内株式 11% → 12%
外国株式  9% → 12%
外国債券  8% → 11%
短期資産  5% →  5%据え置き


ところで、国内株式に関しては11%から12%に比率を高めるということですが。
110兆円の1%(約1.1兆円)が買われたところで株価はビクともしません。

通常の調整範囲内で、マーケットインパクトがないにも日経平均が急回復したのは「単に市場の期待を煽って株価を押し上げようとした」ということかもしれないですね。




余談ですが、GPIFポートフォリオ比率を完全に真似て、資産運用している個人の方もいらっしゃるようです。
比較的まとまった資産がないと難しいでしょうが、面白いアイデアですよね。