ドル下落、豪中銀の利上げや強い欧州指標受け=NY市場


[ニューヨーク 2日 ロイター] 2日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の予想外の利上げや、ユーロ圏の強い経済指標が圧迫した。

 投資家は2日の米中間選挙に注目している。共和党が勝利すれば財政再建や規制緩和が進むとの期待が高まり、ドルの支援材料になると一部のアナリストは指摘した。


 しかし市場では3日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明に最も注目が集まっている。


 ベアリング・アセット・マネジメントの債券・為替部門を率いるアラン・ウィルド氏は「連邦準備理事会(FRB)が『衝撃と畏怖』のような手段を取るとの観測がドル安の直接的な背景だった。このため(声明発表後に)ドルが反発する可能性がある」との見方を示した。


 主要6通貨に対するICEフューチャーズUS(旧NY商品取引所)ドル指数は0.7%下落し76.724となった。一時2週間ぶりの低水準となる76.636をつけた。


 ユーロ/ドルは1.1%高の1.4038ドル。10月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値が予想を上回ったことから、一時電子取引EBSで1.4058ドルへ上昇した。


 トレーダーはユーロがかなり買われ過ぎの水準にあり、1.4045─1.4080ドルが短期的な抵抗線になるとの見方を示している。またユーロ圏のソブリン債をめぐる懸念が再燃しているため、ユーロの上値が抑えられるとの見方が出ている。


 豪ドル/米ドルは一時1.0025米ドルをつけ、1983年の変動相場制移行後の最高値を更新した。RBAは2日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げ、4.75%にすると発表した。


 ドル/円は0.3%高の80.68円。

米金融緩和続いた場合、ドル20%下落も=PIMCOグロース氏

[ニューポートビーチ(米カリフォルニア州) 1日 ロイター] 米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパ ニー(PIMCO)の共同最高投資責任者(CIO)を務めるビル・グロース氏は1日、米連邦準備理事会(FRB)が、非伝統的な金融緩和を続けた場合、ド ルは今後数年間で20%下落する恐れがある、との見方を示した。

 PIMCOの本社でロイターのインタビューに応じた。


 同氏は「ドルは20%下落する可能性がある」と述べ、ドルの下落ペースも投資家にとって重要な検討材料だと加えた。


 ロイターがプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)を対象に実施した調査によると、FRBは恐らく今週、少なくとも5000 億ドルの長期債買い入れ計画を発表することで、投資家やトレーダーが量的緩和第2弾(QE2)と呼ぶ追加金融緩和を開始するとみられている。


 グロース氏は「QE2は、より多くのドルを生み出すだけでなく、投資家がドルから稼ぐ利回りも低下させ、ドルと重要なつながりのある海外投資家が現在の形や現在の価格でドルを保有する意欲を減退させる」と指摘。


 ある程度は、これが米財務省とFRBがともに望んでいることだと語った。


 その上で「ここでの基本的な問題は、われわれの労働力、先進国経済の労働力が、発展途上国経済の労働力と比べてかなりミスマッチな点だ」と強調した。


 米国では、中国政府が人民元相場を操作し、事実上、米国の雇用を盗み去り貿易赤字を膨らませているとの見方が大勢だが、グロース氏はこれについて、経済のグローバル化の副産物だと指摘。

「経済のグローバル化は、われわれ自身が過去20―30年間にわたり行ってきたことだ。これは全てわれわれが促進したことだが、それがあだとなって 返ってきてわれわれを悩ませている。中国、ベトナム、ブラジル、メキシコの労働力がわれわれと競争し、われわれの経済を圧迫している」と語った。

 同氏は「互角になる、つまり均衡を得る方法の1つは、自国通貨の価値を他国の通貨よりも速いペースで引き下げることだ。ドルは準備通貨で あり、これはショックなことだが、時間とともに国際経済が均衡を取り戻すために必要な条件である限り、これがわれわれの向かっている方向だ」と強調した。


 同氏はまた、米経済の低成長が続くことから、米国民は成長を求めて海外への投資を今よりもかなり拡大するべきと指摘。


 「一般的に年金基金や米国民は、債務がドル建てであるため、問題を抱えている。恐らくドルから離れて新興国や成長しているところに投資するリスクを取る価値はあるだろう」と語った。 

情報BOX:米FOMCの注目点とアナリスト予想


[ワシントン 1日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は2─3日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)で、大規模な資産買い入れプログラムの再開を決める、と予想されている。以下は、今回のFOMCをめぐる「キー・ポイント」と、アナリストの予想。 

 <キー・ポイント> 


 *FOMCは2─3日に開催、声明は3日米東部夏時間午後2時15分(1815GMT、日本時間4日午前3時15分)ごろ発表。


  *ほぼすべてのアナリストが、米国債の購入拡大を予想している。買い入れ規模は、約6カ月間で5000億ドル程度とみられている。 


 *FRBは08年12月、フェデラルファンド(FF)金利をゼロ付近に引き下げた。その後1兆7000億ドルの資産を買い入れた。 


 *今年夏ごろから景気回復の勢いが衰える兆しが出てきたため、FRBは量的緩和第2弾、いわゆる「QE2」の実施を検討し始めた。 


 *バーナンキ議長は、金利がゼロに近い時には、長期資産購入は借り入れコストを低下させる上で効果的、との見方を示している。ただし、この規模のプログラムは前例がなく、FRBのバランスシートが一段と拡大すれば、インフレやバブルにつながるとの懸念も根強い。 


 タレット・プレボン(ロンドン)のレナ・コミレバ氏: 


 追加資産買い入れの実効性や副作用、規模をめぐって、投資家だけなく、政策当局者の間でもさまざまに議論されていることは、QEが科学と いうより芸術であることを意味している。FRBは、国債やドルの目先の変動を最小限にするため、漸進的でオープンエンドな手法をとり、経済のリフレの動き を維持することに注力するのかもしれない。今回のFOMCに関する市場の予想は一様ではない。FRBがもし、金融危機 の最中に行った1兆7500億ドルのプログラムと比べて、慎重なプランに乗り出すことを選ぶなら、特にハイイールド(低成長/高レバレッジ)資産について、失望感が広がるかもしれない。 


 <JPモルガンチェース(ニューヨーク)、マイケル・フェローリ氏> 


 声明では今後6カ月で5000億ドルの長期国債買い入れ方針を公表すると見通している。加えて、経済状況次第で追加資産買い入れについ て、必ずしもバイアスとは限らないが、意向を示すと予想している。経済変数を注視した上での長期間(のコミット)の拡大も考えられるが、今回この選択肢は とらないとみている。 


 <バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズ・メリルリンチ(ニューヨーク)、マイケル・ハンソン氏>  


 量的緩和第2弾(QE2)では、「景気回復と金融状況改善に向け、今後6カ月での長期国債5000億ドル程度の買い入れを決定した」と記 した第1弾にならった文言になると予想している。金融状況を一段と上向かせるためには、当初の確約は必要だとみている。その上で9月の声明で最後の部分に 示した先行きに関するハト派的バイアス、FOMCは引き続き経済・金融状況を注視し、必要なら追加緩和を実施する用意がある、と示す可能性が高い。


 <OSK・DMG(シンガポール)、トーマル・ラム氏>  


 公表される施策への評価は、無理ではないが難しいと広く認識されている。FRB当局者の発言は、国債買い入れは規模をその後拡大・縮小す る点で柔軟性をもたせるような仕組みになることを示唆している。これは追加措置による利益と不利益を検討し、金融市場の条件反射的反応のリスクを最小に抑 え、政策意図についての市場との対話を試すためのものだ。


米追加緩和、非常に強力な結果を予想せず=ボルカー元FRB議長


 [シンガポール 2日 ロイター] ボルカー元米連邦準備理事会(FRB)議長(現:米経済再生諮問会議議長)は2日、FRBが今週の米連邦公開 市場委員会(FOMC)で、景気支援を狙って何らかの緩和措置を決定しようとも、それが「非常に強力な結果」をもたらすことはない、との見方を示した。


 ボルカー氏は同時に、追加金融緩和がより長期的にインフレリスクとFRBに対する新たな課題をもたらす可能性があると警告した。


 エコノミストの間では、FRBが3日のFOMC終了後に、追加緩和策として規模5000億ドル、期間6カ月の国債買い入れプログラムを発表するとみられている。


 ボルカー氏はシンガポールでの金融改革に関する討議で「これは、金利にこれ以上の低下余地がない場合に緩和に向け実施される追加策だ。この措置について非常に強力な結果(overpowering results)は想定していない」と述べた。


 FRBの新たな流動性供給策は、より長期的にインフレリスクをもたらす可能性があると指摘したが「その問題への対応が中央銀行の能力を超えることだとは思わない。かれらは対応を迫られることになる」と述べた。


 また、「金融政策の能力の限界に近付いている可能性がある」との議論に反対しないとし、FRBの政策上の選択肢は限られているとの見方を示唆した。


 経済見通しについては、1980年代半ばにみられたような力強い回復を遂げる確率は「限定的」と指摘。「経済面でやや上向いてはいるが、通常の景気回復に比べ、その度合いは非常に小幅だ」と語った。


 この日の米中間選挙についてはコメントを差し控えた。ただ、いずれの党が議会の過半数を獲得したとしても、大幅な財政赤字の削減は予想していないとし「現時点で米政府が財政政策を引き締めるリスクを取ることは考えられない」と述べた。