予習の功罪 | 新・中学受験塾講師の独り言

新・中学受験塾講師の独り言

がんばれ!受験生!

子供が塾での授業についていけないという理由から、保護者の方が事前に授業内容の予習を兼ねて「親塾」をされているという家庭は塾講師目線から見てもかなり多いです。

 

特に男子に関しては、デメリットが大きすぎて全くお勧めできません。

 

今回は予習と塾での授業の関係について私なりの思いを綴ってみたいと思います。

 

 

今回のテーマは基本的に男子についてのものです。

 

受験学年となる6年生になったとしても男子と女子とでは精神面の成長度合いが女子の方がやや早い傾向があるため、塾講師から見ると男子はまさに「お子ちゃま」です。

 

さらに、「お子ちゃま」は自分の実力を度外視したとしか言えないようなプライドの高さを持ち合わせています。

 

「お子ちゃま」はそのプライドの高さゆえに、自分の成績が悪いのは「真面目に授業を受けてないんだから仕方ない」という言い訳の余地を残そうとします。

 

だからこそ、授業を聞かない、周りの子と無駄話をする、などなど、ある意味、塾側からすると、授業クラッシャーとなって、真面目にやってないから成績が悪いだけという口実を作り、か弱いメンタルを守ろうとします。

 

 

では、保護者の方はどうでしょうか。「うちの子は騒いでばかりで、ちゃんと授業を聞いていないんだと思います」というお話は常々よく聞きます。しかし、果たして本当にそう思って仰っておられる保護者の方がどれほどいるのかと言うと、失礼ながらほぼ皆無だと思います。

 

そして、このようなご家庭の多くが授業前に、保護者の方が次の授業範囲について「親塾」を設けて予習をしてしまっています。これは、塾講師からすると迷惑以外の何物でもありません。

 

 

駆け出しの講師であっても、大手塾であれば、指導案に沿って体系立てた授業となるようベターといえるような配慮のものに授業をします。経験豊富な講師になると、指導案を踏まえつつ、それまでの経験をもとにいかにして成績が上がるような授業になるかに全力を注ぎます。

 

では、保護者の方はどうでしょうか。教えることは出来るとしても、他の単元との関連や、問題の解き方に関する一貫した方針を貫くのはかなり困難なのではないでしょうか。

 

 

しかも、生徒は「親塾」のもとで授業で演習する予定の問題を事前に保護者の方に解いてもらっていますので、「分かっているつもり」になって、いつも以上に授業中に騒ぎます。授業を聞きません。

 

 

これで成績が上がるなら塾はいらないでしょう。でも、それで成績が上がっていますか?

 

 

「親塾」で頑張ったのは保護者の方です。中学受験経験者の保護者の方であれば、数十年ぶりに実戦的な問題を目の当たりにして奮戦されたことでしょう。しかし、その尽力が子供には残らないのが何よりものデメリットになるのです。

 

もちろん、わたしも「親塾」を全否定するつもりはありません。しかし、お仕事を終えて帰宅されてから、自分が受験するわけでもない勉強に必要以上に時間を掛けることに意味はないと思います。

 

どうしても、「親塾」でサポートしたいと思われるのでしたら、授業後の復習のために「親塾」をしていただきたいのです。

 

 

私は常に思います。生徒の成績が上がらないのは、「出来ないからではなく、出来るようになるまでやっていないだけ」なのです。過分な保護者の方の「親塾」によって成績が上がっているのは保護者の方なのです。肝心のお子様の成績にはほとんど影響を与えません。

 

今回の記事を一つの参考としていただき、復習メインの家庭学習をしていただければと願うばかりです。