さて、今回が実質的な本題です。
前回の記事で、その生徒が真っ先に宿題を提出するようになったと書きましたが、ここで肝心なことは、その生徒のやる気が出た、というのは成績が向上するようになった一つのきっかけに過ぎません。
やはり大事なことは、勉強方法です。
その生徒が提出してくるノートは宿題としての理想形でした。というのも、宿題ノートを見ると、
- 宿題で出された問題を解いてみる
- 自分で〇付けをしてみる
- 不正解だった問題や全く手が出なかった問題の解説を熟読する
- しばらく時間を空けて解けなかった問題を解いてみる
- 以下、3と4の繰り返し・・・
- 塾に来るまでに自力で解けるようにならなかった問題は塾で質問
いかがでしょうか。ここで特に重要なのは4だと思います。その生徒は、塾が終わり帰宅すると宿題に取り掛かり、3のところまで進めます。その後は、出来なかった問題を朝起きてから、夜寝る前に、というサイクルで延々と同じ問題に挑み続けていたのです。
さらにその生徒の凄いところは、分からなかった問題については6年生になるまでに使用していたテキストに戻って勉強をしていたことです。
多くの中学受験塾では、小5までに中学受験に必要な単元の授業を終えてしまいます。そして、その生徒は残念ながら小6になるまで算数の勉強を完全にサボっていました。ですから、その生徒にとっては、復習というよりは新たな単元の勉強という側面がとても大きかったと思います。
このように過去のテキストに立ち戻って苦手な単元の基礎を固めるというのは非常に大事です。しかし、これが本当に難しいのです。塾ではどんどん先に進んで行きますので、実際はしっかりと理解していなくても、なんとなく分かったつもりになって先に進まなければいけないという気持ちになってしまうのかもしれません。それを、その生徒は焦って先に進もうとはせずに、しっかりと足場を固めながら、歩み始めていたのです。
「頑張ってるね」と声を掛けても、「やっていくうちに、やらないといけない問題が減っていくからたいしたことないよ」と平然としてました。
勉強で大事なのは復習だという話はよく耳にしますし、私もよく言います。しかし、ここまで完璧な復習が出来る人はそう多くはありません。
これだけ頑張っているのですから、算数の成績が上がり始めるのもそう遠くないだろうなと私は早くも確信していました。
つづく・・・