陸上競技の中で、フォームにルールがあるのは競歩だけです。

恐るべき猛スピードのウォーキング。
 

しかし、見ていて、なんとももどかしく思えるのは、厳格なルールがあるからです。

競歩の主な違反に次のものがあります。

ロス・オブ・コンタクト
歩く際、常にどちらかの足を地面に接していないといけない

ベント・ニー
かかとが地面についてから、脚が地面と垂直になるまで膝を曲げはいけない

20キロ競歩では、違反を繰り返すとペナルティーゾーンでの2分間の待機が科せられ、さらに違反すると失格になります。



パリオリンピックの男女20キロ競歩で、日本勢はメダルこそ取れなかったものの、最後まで奮闘しました。

前回の東京大会の銀メダリスト、池田向希選手は7位。


事前のインタビュー(NHK)の中で、

「誰にも負けない美しい歩型」で世界の頂点を目指すと話していたのが印象的でした。

スポーツをするなら大概の競技は、長身の方が有利です。
競歩も当然ながら一歩の大きさ、歩幅の広い方が有利です。


池田選手は身長168cmと、世界トップと戦うには小柄。
 

身長のハンディを覆すため、

世界の頂点を目指すために「美しい歩型」を磨いてきました。

フォームの中でも池田選手がフォーカスしてきたのは、

意外にも「上半身」の動きだといいます。

「無駄な力が体に入ることで体が固まり、動きが小さくなりスピードも落ちてしまうというのがよくあった失敗。そこを変えるために、最初から最後まで力まないように、無駄な力を入れずにリラックスした状態を維持することを考えた」

フォームを確立し、無駄な力を入れずにリラックスした状態を維持することで、力強い歩きにつながる。

 

私たちの日常の歩きに置き換えてみると、

上半身をリラックスさせ、無駄な力を入れずに歩くことが美しい歩きにつながるということでしょう。もちろん、地面をしっかり踏んで体を引き上げた上で。

確かに、競歩の選手は、

下半身の独特な動きに対して、頭の位置はブレていません。

 

オリンピックを見ながら、美しい歩きについて考えました。