「Mommy, if T-rex come tonight, I'll be long neck and
I'll stomp him and I'll keep you safe,okay?
so don't be scared . sleep tight.」
マミー、もし今夜、ティラノサウルスが来ても大丈夫だよ。
僕が首長竜になって、踏みつけて、僕が守ってあげる。
だから、心配しないで。 ぐっすりお休み。
ちびらは今夜、大きな眼で私を見つめてこう言って眠った。
いつのまに、自分より大きいものまで、守ろうなんぞと考えるようになったのか。
驚くやら、感激するやらで、瞬きさえ忘れた。
まるで、らーちゃんが私に言うような言葉。
ああ、こうやって、愛は循環するんだね。
子どもの言葉は、親の言葉。
子どもの行いは、親の行い。
子どもの思想は、親の思想。
眠りに付いた、二つのそっくりな寝顔を、交互に眺めながら自分も眠りに付こうとするとき、
毎晩一首思い出す。
一生を見とどけられぬ 寂しさに 振り向きながら行く 虹の橋 (俵万智)
老いて死す、親の心を詠った歌か、それとも・・・
子の一生を見届けるほど、間違ったことはこの世に無いが、
ああ、こんな愛しいものの全てを見とどけることは出来ないのだな、と思うと、
一瞬の幼い寝顔も惜しくて、眠いのに何度でも何度でも、薄目を開けて子どもの寝顔を見返してしまう。
母は毎夜、振り向きながら行くよ、夢の橋。