今日は、待ちに待った君とのデート。
いや、付き合ってないからデートではないか。
じゃあ、なんだろうこれは。
よくわからないけれど、今日は私にとって特別な日。
髪を結わいて、履き慣れない下駄をカタカタと鳴らしながら、神社に向かう。
入り口の鳥居を抜けてすぐのところ、
君の姿が見えた。
なんか今日かっこいい。やっぱ嘘。
でもやっぱいつもよりかっこいい。
ーーお待たせ。待った?
ーーいや、今来たところ。
ーーそれって割と待った時に言う台詞だよねごめんごめん。
ーーいや本当に今来たところだから。
こういうくだらない話をしてる時がなんでもないこの時間が1番好き。
やっぱ有名なお祭りだけある。人混みに揉まれて今にもはぐれそうだ。
ーーん。
突然、手をこっちに突き出す君。
ーーえ?なに?
ーーお前、手繋がないと迷子になるから。
ーーなにそれ、子供扱いしないでよね。
ーーいいだろ。
そう言って半ば無理やり私の手を引いた。
恥ずかしがりながらも私を引っ張る君はなぜだかものすごく大人に、ものすごく遠くに感じた。
寂しくて、小さく手を握り返す。
すると、君も同じようになにも言わずに手を握り返してくる。
大勢の人の中で流れる二人の時間。
この時間がもっと続けば、、、
でも、時間が経つのはあっという間だった。
時計が夜の10時を回った。
ーーもう帰らなきゃ。
ーーそっか。
残念そうに君が言う。
ーーうん。
ーー送っていくよ。自転車だから。
ーーえ?でも遠い。
ーーお前、送らないとまた迷子になるだろ?
ふざけた口調でまた私を馬鹿にする。
ーーばーか。
小さく呟く。
私が君のこと好きだってことに全然気づかない君のほうが私よりもっとばか。
いつも子供扱い。
今度こそおしゃれして、おめかしして大人になったって言わせてやるもんね。
自転車の後ろに横座りしたまま君に腕を回す。
ーーちゃんと掴まってろよ。
ーー当たり前。
そう言って私は君にもっと強く抱きついた。
ひとりごと。