ーーそう、ミサンガ。作るの。
ーーなに、恋でもした??
友達がニヤニヤしながら私に聞く。
ああ。だるいやつが始まる。嫌な予感は的中だ。
ーーばか。してるわけ。
素っ気無く答える。
ーーじゃあ誰にあげるの??ねえねえ。
ーー教えない。
ーーいいじゃん、教えてくれたって。
うわ、でたまたその上目遣い
使う相手間違ってるってば、
ーーあいつだよあいつ。
ーーえ?あいつってあいつ?あのいつも馬鹿にしてるあいつ?...好きなの?
ーー違うってば!頼まれただけ。
そう。頼まれただけ。
なのに。
何色好きなんだろうとか、どんな模様にしようとか、
気がつくとそんなことばっかで。
あれ。なにこの胸がざわつくこの感じ。
ーー完成したら先に私に見せてね。
うわ、またニヤニヤしてるよ。
ーーわかったよ。
10年の仲の友達にはさすがに断りきれなくなる。まあいいや。
結局3回もやり直して、やっと完成した。
でも待って。どうやって渡そう。
突然渡したら変かな。でも頼まれてるから。いやでも、こういう時はかわいい袋にでも入れて渡すのかな。ああ無理わかんない。
教室で、完成したミサンガ片手に一人、そんなことを考えながらグラウンドを見る。
ーーあれ、今日いないのかな。
あいつの姿が見当たらない。
と思った次の瞬間。
急に後ろのドアが開いた。
慌てて隠すミサンガ。
目の前にいるのはあいつだった。
ーー今なんか隠した?
うわ。タイミング最悪だ。
ーーえ?いやなにも。
どうしよう、今渡そうか、渡さないか。
なぜか言い出せない。胸の鼓動が手先にまで伝わる。なにをそんなに緊張してるんだ。
ーー隠しただろ?
ーー...これ。
言葉数少なく、不器用に差し出す。それが今の私の精一杯だった。ああせっかく渡す時のこと色々考えてたのに。
ーーえ!作ってくれたんだ本当に。
ーーえ、あ。うん。だって欲しいって言うから。
ーーありがと。じゃあ練習戻るわ。
ーーうん。じゃあ。
ーーなあ!
ーーなに?
ーーあ。いやなんでもない。またな。
ーーねえ!やっぱり待って!!私、好き...なの。
ああああ。なに言ってるの自分。でも、もう言うしかない。どうにでもなれ!!
ーーえ、?
ーー私。どうしようもなく馬鹿なあんたが好きなの。
ーー今同じこと言おうと思ってた。心臓止まるかと思った。
ーー止まっちゃえばーか!
またいつもの冗談を言って笑顔で手を振って教室を後にする。
ーーごめんお待たせ。
ーー遅いよ。で?ミサンガ完成した?見せてよ!
ーーあ。もう渡してきた、
ーーええ見せてって言ったじゃん。
ーーそうだっけ?
私は笑ってごまかす。
適当にかわす方法もこの10年の仲で身につけた。
ひとりごと。