もしも。もしも神様がいるのなら。
もしも。もしも恋の神様がいるのなら。
答えてくれれば幸いです。
ーーあの。恋って何ですか。
ーー好き。って何ですか。
ーー付き合うってどういうことですか?
こんなこと、1人部屋でつぶやいたって誰も答えてくれないよね。
高校生最後の夏。毎年何一つ変わらない。
部活やって、宿題して、仲のいい子と遊んだり、お泊まりしたり。
たまには遠出も。海とか花火大会。いつもは行かないような場所に行ってみたり。
そう、夏の暑さが、海に立つ波の音が私たちをそうさせる。
でも。去年の夏は違った。去年の夏は。
高校2年の夏。
私は私が私じゃなくなりそうになるくらい好きな人ができた。やって来るのが憂鬱だと思った初めての夏休みが始まった。
なんでかって?そんなの決まってる。
会いたいから。話をしたいから。一緒に隣で、君の隣で笑いたいから。
どうしても抑えきれないこの気持ちを胸に、私は人生で初めての告白をした。
なんて言ったか?そんなの覚えてるはずないでしょ。
もちろん振られる。そう思ってた。
ーーいいよ。付き合おう。
君がそう、口を開いた。
私の夏。私の夏の始まりだった。
映画をみたり、買い物したり、ご飯食べたりすぐそこら辺にいるカップルと何も変わらない毎日。でも。それが何よりも楽しくて、何よりも幸せで。
ーーずっと一緒にいよう。
君は確かにそう言った。
ーーうん。ずっと。
私は君の言葉を少したりとも疑わなかった。
なのに。
ーーごめん、別れよう。
夏の終わりの日に君は私にそう告げた。
ーーなんで?ねえ、なんでなの。
なんて聞いてもただ無言で俯いている君の姿。涙が止まらない。
私の夏は終わった。
結局、何も教えてくれなかった。何も。
ただ。隣に居たかっただけなのに。
それから、1年。私は1つ大人になった。
17歳の私は1年前の私と何か変わったのだろうか。
あの日から私は恋がわからない。
恋する気持ちが、好きという感情がわからない。友達として好きな人はたくさんいる。気さくなあいつも、スポーツ万能なあいつも。
でも。それは恋とは何か違うの。
なにかが。
ーー困りましたね。
ーー誰?
あれ、誰の声?私は今私の部屋であれ?なんで人の声がするの??え?
ーーそんな焦らないでください。
ーーねえ、誰なの??神様なんていないでしょ!どーせ、誰かがふざけて、、
でも、誰もいない。姿もない。
ーー恋とは。好きな人とは。付き合うとは。難しい質問ですね。
答えはきっと、自分の中にありますよ。
1つ言えることは、あなたが前を向いてないことくらいですかね。
結局誰だかはわからなかった。ほんとに恋の神様がいたのかもしれない。
季節は変わり、秋がやってきた。
まだ、恋はあまりわからない。
でも。もう逃げない。
君が好きでした。大好きでした。
君に会って、君と付き合って自分より守りたい人ができました。
ーーばいばい。ありがとう。
17歳の夏は去年の夏となに一つ変わってなかったのかもしれない。
だけど、季節が変わった今、私はやっと前を向いて歩ける気がした。
緋く色付く夕陽が沈みかけた頃、冷やりとした秋風が私の部屋を吹き抜けた。