先日見つけたクリニックに朝早速電話してみた。
 
電話に出た受付の女性の声は、最初は明るかったものの、「すみません、少しお伺いしたいのですが」と
切り出した瞬間に「・・・はい」と少し不審げな声に変わった。
 
「母の転院先を探していて、受け入れていただけるかどうか先生とお話をさせていただきたいのですが」と言うと
「先生とお話するのがご希望でしたら、一度診察券を持って診察時間内にお越しください」と言われた。
 
私は、結局このクリニックもダメでお母さんをガッカリさせるのは嫌だったから、内緒で一人で行こうと思っていたけど、本人(お母さん)の保険証がないとダメだと言われてしまった。
 
仕方ない・・・。お母さんにすぐに電話して事情を話した。
「まだわかんないから期待しないようにしようね!」と伝えた。
 
クリニックへ行くと、今までの総合病院とは違って、患者さんもギュウギュウじゃないし、キレイで明るかった。
診察室へは私一人で入ることにした。
お母さんにはもうつらい思いをさせたくない。
私は何度も何度も頭の中で、先生との会話をシミュレーションした。
もちろん、断られることも前提で、それでもすぐに引き下がらずに何度も何度もお願いしようと思った。
何度だって頭を下げようと思った。
 
30分頃たって呼ばれた。
診察室の前に座っていると、中から先生と患者さんの笑い声が聞こえた。
明るくていいクリニックだな・・・と思った。
 
私の番が来て呼ばれて一人診察室へ入った。
 
HPで見たとおりの優しそうな先生。
「こんにちは、はじめまして○○です」と挨拶してくれた。
そして、私はこれまでの経緯と母と私の望んでいることを伝えた。
先生は私が話す間、「うん、うん、ほ~、なるほど・・・・」と相槌を打ちながら聞いてくれた。
 
一通り話し終わって、先生が言ったことは、やっぱり今までの担当医と同じことだった。
ゆっくりと穏やかな声で、「がんの治療法というのは、日本でも世界でもある程度は決まっていて、病院ではその最も効果的とされている治療をするようになっているんだよ。それを受けない、というのは回り道をすることになって、今なら間に合うことも回り道をしていたら手遅れになることだってあるんだよ」と言われた。
 
食事療法に関しても否定された。
民間療法には惑わされるな、とも言われた。
医療を受けないリスクは大きいよ、と言われた。
 
それでも「はい、わかっています。覚悟しています。」と伝え、「もし、悪くなってしまっても自分達で選んだ道だと思って後悔はしません。本当に、経過を見ていただけるだけでいいんです。検査をして体の状態を教えていただけるだけでいいんです。」と言った。
 
先生は最期に「今医学療法を始めれば10年生きられるところが、もしかしたら半分・・・悪ければ3年になることだってあり得るよ。その覚悟もある?」と聞き、私が頷くと、「気持ちはよくわかりました。最終的に治療方法を決めるのは患者さんご本人だからね。いいですよ。診て行きましょう」と。
 
 
受け入れてくれた・・・!
もう、それだけで、本当に嬉しくて、ほっとして、涙が溢れてしまった。
お母さんの前では絶対に泣かないって決めていたのに、涙が止まらなかった。
 
待っていたお母さんの所に戻ると、「どうしたの??泣いてるの??」と心配そうな顔をして
「みさとが泣いたらお母さんも泣いちゃうじゃん・・・」と訳も分からないままお母さんまで泣いた。
「先生があんまりにも優しくて・・・。受け入れてくれるって言ってくれて・・・。」と伝えると
お母さんは「ありがとう、ありがとうね」と言ってくれた。
 
 
先生が“お母さんとも一度ちゃんと話をして、医学療法を受けないリスクもちゃんと説明しておきたい”と、
午後もう一度お母さんと話す時間をつくってくれた。
 
 
今度はお母さん一人で先生のもとに行き、一通り話を聞いて転院が決まった。
 
 
 
明日の整形外科のMRIの検査を最期に、総合病院とはお別れだ☆
お母さんを泣かせたあのドクターともサヨナラ!
 
私達の気持ちをしっかりと聞いてくれたクリニックの先生には感謝の気持ちでいっぱい。
お母さんが泣かずに通える病院が見つかった・話を聞いてくれる先生にめぐり合えた・・・!
それがこんなにも嬉しい・・・
今日はいい一日だったなチューリップ赤