「なんだって??先に言ってくれよ、プラトン!!」と、ハルモニア。

『だがこれは最終手段だ。危険も伴う。最期に言おうと思っていた』と、プラトン。

 ラインハルトは馬車を止めてもらい、御者さんに話しかけた。

「レイマさん、あなたは確かリラ西部の北方のご出身でしたね。我々が目指す、オールバニの町の、イサベル高原に、100年に一度降るという、流星のことについて、何か知っていないかな??」と、ラインハルトがチップを渡して言う。

「オールバニのことは知ってるが、行った事ないからなあ、ちょっとわしには分からない。100年に一度降る・・・??どこかで聞いたような、聞いてないような。次の町で乗り換えるから、そこでまた聞いとくれ」と、レイマは言った。

「そうですか・・・」 

ラインハルトはため息をつき、馬車に乗り込んだ。

 その日は雨だった。しとしとと雨の降る中、馬車は街道を進んだ。

 

                   *

 

 ヘーゼルは、父フーヴェルの運転する車で、リマノーラの首都・モーリシャスの大病院まで連れて行かれることになった。車には医者と、母オフェリアも同行した。

 村に残されたノアとナスターシャは、ため息をついた。

「ラインハルト兄さんのところも、雨降ってるかなあ・・・・」と、ノアが雨粒を手に受け、天を仰ぐ。

 ナスターシャには、ノアが少し泣いてるように見えた。

「もってあと1年、かぁ・・・」と、ノアが半泣きの声で言う。

「・・・」ナスターシャには返す言葉もない。旅は絶望的・・・ではないものの、無事に1年以内に帰ってくる保証もない。

 フーヴェルは仕事があるため、ヘーゼルを送り届けた後、病院に残る母をおいて、村に戻り、働くという。ノアとナスターシャは病院に行きたいと思っていた。

 ノアは、勤め先を辞めて、ヘーゼルの看護にあたろうか、とも考えたが、正直迷っていた。両親が何というだろうか、と思っていた。ナスターシャは、仕事のある婚約者アルヴィンを置いて、とりあえずモーリシャスの病院で、へーゼルのそばにいようと思っていた。