13世紀頃のお話です。

ある日ウェールズの君主サウェリン王が帰宅すると

愛犬のゲラート(左)が口を血塗れにして立っていました。

見ると彼の息子がベビーベッドから消えています。

「おのれ!息子を喰ったな!」

怒りに燃えて王はゲラートを切り捨てました。

しかし、これは大きな誤解でした。

 

 

王が床を見ると、毛布に隠された息子がスヤスヤ。

傍らには血だらけの狼の死体が。

ゲラートは息子を襲った狼を殺し、

賢明にも息子を毛布で隠したのでした。

元々ゲラートを愛していた王は深く後悔し、

国葬に準じる葬儀を行いました。

以来、王は笑わなくなったそうです。

 

 

画像は一枚目が Charles Burton Barber の「ゲラート」(1884)。

二枚目が Gourlay Steell の「サウェリンと彼の勇敢な犬ゲラート」(1880)です。

ウェールズに伝わる悲しい伝説でした。