【オリジナル】パラレル1話 | 美咲輝のブログ

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パラレル1話

終わらない。
高校2年を迎えた10月のこと、中間試験を目前。わたしはテスト勉強に追い込まれていた。
どうしよう、テストまで2週間もないのだが「全く」と言っていいほど課題に手がついていないのだ。
テスト勉強を初めてまだ30分も経過していないが、
「だめだ、できない。」
そうため息混じりに喚いた。
やっぱり普段から勉強してないのが裏目に出たか…
もう一度ため息をつき、気合いを入れるために肩まである髪を二つに結った。



ピピピピピ!ピピピピピ!
目を覚ましたのは午前8時過ぎのことだった。
「ん…」
寝てしまった。
まだ重い眼を擦りつつメガネをかけ直した。
10月30日木曜日。
…木曜日?
「学校!!」
素早く制服に着替え、朝ごはんも口にせずそのまま家を出た。
間に合え!1時間目の授業に!
もう、朝のホームルームはあきらめよう。



学校についたのは8時45分だった。授業開始5分前。ホームルームに遅れたものの、なんとか授業には間に合った。
一件落着。
落ち着くのもつかの間。筆箱がない。
そうだ、勉強したまま机の上だ。仕方が無い、隣の人に借りよう。
「加賀見さん、シャープペンと消しゴム余分に持ってない?筆箱わすれちゃって…」
「いいですよぉ?…包さん、これでいいですかぁ?」
そう言って加賀見さんはシャープペンシルと消しゴムを渡した。
「ありがとう!」
シャープペンシルと消しゴムを受け取ったその時、チャイムが鳴った。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
凄まじい声とともにクラスの前を影が横切った。
「ひらりさん、また遅刻しそうなのかしらー?」
廊下を窓際の席から覗きながら加賀見さんはそう呟いた。
「ひらりさん…?」
聞いたことがある。確か…
「はい、部活破りの五十嵐ひらりさんです」
にこやかに加賀見さんは答えた。
「五十嵐!廊下を走るんじゃない!…まったく…さぁ、授業を始めるぞ。加賀見、包、お喋りをやめなさい。」
そう言われると一本に結ったお下げを揺らし加賀見さんは前を向いた。



道場破りならぬ、部活破りの五十嵐ひらりさん。運動神経が良く部活勧誘されるも帰宅部…
遅刻、早退、中抜けが多く、彼女の存在には謎が多い。名前は知らなかったけれどある意味有名人だ。
「廊下を駆け抜ける姿、よく見ませんかぁ?」
昼休み、授業終わりに熟睡しきっていた私を起こしてくれた加賀見さんとお昼を食べることになった。
話題は五十嵐ひらりさんについてだった。
「確かに見かけるなぁ…すごい速さだよね」
「そうですよねぇ!ひらりさん、あんなに運動神経いいのに部活に入ってないなんてもったいないですよねぇ」
バン!
「包 ひかりーーーー!!!」
瞬間、大声が私の名前で教室を響かせた。
「え…はい…私ですが…?」
五十嵐は私に駆け寄りこう発した。
「わたしは五十嵐ひらりだ!ついてこい!」
「え?!」