言霊が響いた夏 | 水咲 美玲のブログ

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映画『LIVE FILM 言霊の幸わう夏』。

昨年夏、そうお盆という日本の夏にとっては,日本人にとってはそれぞれ特別な思いを馳せながら過ごす時期に行われた福山雅治さんのライブ。

そして場所は武道館。アーティストの聖地と呼ばれるこの場所は、お盆の日本にとっても聖域だ。


当日、この場所にいてライブの熱狂と興奮の渦の中にいた私は、映像化される、映画化されるとう話を聞いても全く想像がつかなかった。むしろ想像することをやめた。映画を観て体感してみたかったからだ。


ストーリーは、足取りの重い少年が武道館に入るところから始まる。緊張している少年は思い切って足を踏み入れる、まだ何も知らない世界へ。

彼は、音楽で生きていくことに憧れを抱いてた少年期の福山さんだ。


そしてライブが歓声と拍手と共に始まる。

福山雅治さんのライブはチームメンバーが豪華なことも知られている。トップミュージシャンの奏でる音の迫力にいきなり息を呑む。

シアターがDolbyで音響システムが整っているためでもあるが、耳の近くでギターが鳴り響き体にダイレクトに響くからだ。


これは、「ライブ」だけれど、

いつもの『ライブ』じゃない。


そうライブの心臓部にダイレクトに座らせてもらえている感覚。

何が起きるのがわからず、音に光、そして声の世界に瞬きも忘れて魅入る。

その場所にいたはずなのに、セトリも知っているはずなのに、、、


トップアーティストしか立てない場所から見えている景色の美しさに見惚れていると、福山さんの顔がアップにされる。

声、そしてギターを弾く指はオーディエンスの観客と声援と同じくらい熱いのだが、眼差しは鋭い。

オーディエンスの、そして会場の盛り上がり、そしてライブの一つ一つが正確に,一寸の狂いもなく進んでいるのを確かめるように。

まるで夜の闇に静かに潜む猛獣のような目ではあるが,その鋭い眼差しの底には優しさが潜む。

誰も味わうことはできない至極の悦びと誰も味わうことはない地獄の苦しみを知っている,その中で音楽で生きていること,生きていくことに覚悟を決めている大人の男の眼差しだ。

その凄みに美しく熱を帯びる音、光、映像の世界に没入していく。


そう,この映画は少年期の福山さんが未来のいまの福山さんに逢いにくるというコンセプトも含まれているのだ。


夏歌がセトリとして並ぶ。

その中でも心を鷲掴みにされるのは、「想望」

いまヒット中の映画の主題歌。

戦争が日常を引き裂き、愛する人を置いて特攻隊員として飛ぶ運命の彰の心情を歌っている。

お盆というタイミングに聖域武道館で捧げられる鎮魂歌。

いまの世界情勢は、実際戦争が行われている。

そしてその戦況が、戦火がいつ自国に飛んできてもおかしくない緊張を漂わせている。

そう戦争は、遠い昔の話でもなく、遠い国の話でもなく、恐ろしいことに近くに感じる時代になってしまった。

その不安感の中で,以前と変わらないと信じたい私たちは日常の生活を送っている。

どこまでも切なく、優しく、そして落ち着いている福山さんの声が体に響くたびに、先の戦争で命を落とした御魂たちの声が、このまま日常を甘んじて享受できると考えているのか?と投げかけているような感覚に陥る。


Encore「光」「ヒトツボシ」「クスノキ」

D.Encore 「Dear」

End Roll 「家族になろうよ」


いつも聴いている名曲に、今まで感じたことのない感覚が湧き上がる。


『生きている』


死にたくなるほど辛いこと,苦しいことは生きていればある。

それでも生きているからこそ,大切な人から受ける優しさや愛を実感することができる。

その有り難さが、体に心に響いてくる。


『うちに帰ろう ごらん夕焼け

 綺麗と思える 小さな世界で

 泣いたり笑ったり

 食べたり眠ったり


 僕らはいま

 生きている』


この歌詞を胸に抱くことで、

希望が不思議と生まれてくる。

まさしく言霊の力だ。


守らなければならない、

大切なそして確かな「何か」を胸に秘めて、

いつものライブとはまた違う

熱くそして重厚なライブ映画。


全く新しい試みのライブ映画。


どうぞ、一度ご堪能あれ。


ライブではないライブに酔いしれる新しい感覚は、

『LIVE FILM 言霊の幸わう夏」でしか味わえないこと間違いなし。