僕もやっと観劇させて頂きました!!


『チュイチュイ 左手のバイオリン弾き』


今迄の間に県内7ヶ所(長野市・伊那市・茅野市・安曇野市・飯山市・佐久市・大町市)で行われた、NPO法人劇空間夢幻工房プロデュースの初ミュージカル公演。今回は、須坂市制施行70周年記念公演という事で、一般財団法人須坂市文化振興事業団の主催公演でした。






夢幻工房のファンである僕が、まさかの今の今まで見る機会をずっと失っていた……。


で、須坂に帰ってきたこのタイミングで須坂市で開催される事を知り、「これはなんとしてでも出向かねば!」と、思い、色々予定を変更して何とか本日伺えました。


そもそも、本作はSNSや周りの観劇した方からの評判が非常に高いことが印象的で、観劇する前から期待大!!!


で、観劇して……やはり確り期待を越えてきました!そりゃ、皆さん口を揃えて「感動した」と仰りますわ。。。


本作は、夢幻工房で長年バイオリニストとして生演奏で出演されている「牧美花」さんの半生を描いたファンタジー仕立てのドキュメンタリーミュージカル。

自分も夢幻工房の舞台に出演していた10年間は牧さんの演奏に、人柄に相当にお世話になっておりました。


むかーし、今でも鮮明に覚えているんですが、稽古の時に牧さんに頼んで少しだけバイオリンを触らさせて頂いた事があります。

当時小学校低学年(より下かも?)の自分には全く扱いが分からず、「ギィギィギィ」という音を鳴らしていました。


あ!話し戻します!!


そんな牧さんの物語(物語上はミカという名前で登場なので、以降「ミカさん」)。

悲観的な目だけで見るわけではありませんが、壮絶な人生だった事を伺える内容。


「スズキ・メソード」の鈴木鎮一先生、ミカさんのお母さん、お姉さん。

”左手が動かない”というハンディキャップを抱えたミカさんが、そんな周りの人達との出会いや悲しい別れ、献身的な支えによって、尚もその上でミカさん自身の力で様々な実績を重ね、成長していく。

そこにファンタジー要素が加わったことで、ある種の青春冒険譚の様な感覚も受けました。


脚本・演出の青木由里さんのパンフレットコメントを見る限り、牧さんの半生にはきっと、劇の内容以上にきっと色々壮絶な部分もあったんだろうなぁと。

というか、その事実をそのまま劇に起こすことも出来たのかなぁと。


でも今回の作品は、子供も一緒に楽しんで見れる作品をという事を意識されたらしく、ファンタジー仕立てのミュージカルに昇華したとの事。


大事な部分が確りと届くけれども、重圧感なく物語を楽しむ事が出来た方がきっと多くいらっしゃったのかなぁと、超個人的に思っております。


だからこそ、と言うべきか分かりませんが、かなり明るめなテイストで描かれていた本作であったので、最終的には感動という感情が生まれてきたような気もします。


愉快なキャラクター達に乗せられて、ファンタジーの中に連れ込まれ、気づけば物語にのめり込み、どうしようにもない感動の渦に巻き込まれている。

そんな感覚を覚えました。


まさに、青木マジック!!

本当に素晴らしかったです。

今回ばかりは(というか毎回そうですが)物凄く良い意味でかなりのショックを受けました。


あ、物語もそうなのですが、演者の皆さんも物凄く豊かでした。

役者復帰で本領発揮、朗らかで力強い母親を演じた青木由里さん。

コンテンポラリーダンサーでありながら歌も芝居も的確で、愉快で繊細なミカさんを演じた井田亜彩実さん。

そして唯一のファンタジーキャラクターで物語をグイグイ引っ張っていく白ウサギ(ホワイト)、ミカさんとの運命的な出会いで数多くの力強く温かい言葉を持つ鈴木鎮一先生、ミカさんの一番の理解者である姉・美里を演じた青木賢治さん。


そして、優しいキーボードと優しい歌で物語を包み込んでいた黒崎真美さん。

そしてそして、演奏と語り・バイオリン・パーカッション・歌と幾つもの役を熟していらっしゃった牧美花さん御本人。


ていうか!!役者陣が皆さん、バイオリンを弾いていた!!思わずそれに「えーーー!」と客席で小さな声で驚いてしまいました。


何たるや、役者としてのポテンシャルの高さ。

役柄として当たり前っちゃ、当たり前なのかもしれませんが、だとして、やはり役を演じるということはそういう事なのか……と、役者である自分が奮い立たされた作品でもありました。


もう、本当に色々驚かされっぱなしで、感動させられっぱなしで(一体物語の中で何度涙ぐんだことか……)何もかもが素晴らしく、洗礼された美しく温かい感動の舞台でした。


この作品は以降、「エコ☆ミュージカル」として長野県内各地で開催されるとの事。

フルバージョンは一旦これで見納めなのかな?

と考えると、なんかちょっと寂しいですが、この作品は全国展開されておかしくない(いや寧ろされるべき!)、ミュージカルであったと思います。


これから母親・父親になる人、なるかもしれない人、既にお父さん、お母さんである人、今夢に向かって頑張っている人、夢を持たずとも懸命に生きている人、頑張っている人、頑張ってない人、頑張ることが難しい人、頑張りたいのに頑張れない人、若い人、いわゆる世間一般的に「大人」という括りにされている人、悩んでいる人、悩んでない人、絶望ひている人、してない人、お年を召された方、そんな方々にぜひ見て頂きたい。

要するに、全ての人に届いたらいいなぁと、いち夢幻ファンとして勝手に思っております。




自分もね、頑張りますよ!!

いい作品を受け取らさせて頂いたんですから!!