昨季リーグ最下位からリベンジ期す名門同大ラグビー部 | 2024年 京都産業大学ラグビー部を応援しょう…。

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昨季リーグ最下位からリベンジ期す名門同大ラグビー部 追求する「立ち帰る場所」 酒井優ヘッドコーチに聞く

 

 

 

 

スポーツ報知

 

 

同大京田辺グラウンドでの練習中、選手らに指示を出す酒井優ヘッドコーチ(右)(カメラ・岩田 大補)

 

 関西大学ラグビーAリーグで最多の優勝48度(旧リーグ時代含む)を誇る同大が、7戦全敗で最下位(8位)に終わった昨季のリベンジへ好スタートを切った。12日の公式戦初陣、春季トーナメント1回戦・中京大戦で14トライ9ゴールを奪い、88―3(前半31―3)と大勝。コーチ生活17年を経て今季就任し、グラウンド指揮を担う酒井優(まさる)ヘッドコーチ(43)にチーム再建への思いを聞いた。

(取材、構成=田村 龍一)  

 

全国大学選手権V4度の名門・同大が昨季、創部以来ワーストのリーグ7戦全敗の屈辱を味わった。入れ替え戦は大体大に勝利。初のBリーグ陥落は免れた。宮本啓希前監督(37)は退任。新体制の今季、公式戦で白星発進した。

中尾晃監督(57)のもとでグラウンド指揮を任され、選手から「マサルさん」と慕われる酒井ヘッドが取り組むのは“原点回帰”だ。  

「昨季も戦術、戦法は間違っていなかったと思う。ただ、細かいところから歯車が合わなくなった。どうカバーするのか見つけられないままシーズンが終わった。もし『立ち帰る場所』があったら、結果も違ったのではなかったか。『立ち帰る場所』とは、俺たちはこれだけ練習してきたんだとか、そういうこと。それを今、作っている最中」  素早く前に出るディフェンスを掲げたが、機能させ切れず黒星を重ねた昨季。理想のラグビーを追求するあまり、肝心の走り勝つ、当たり勝つという部分が、おろそかになった。だが、同じ轍(てつ)は踏まない。  

「『本当にこれは自分たちが強くなるための練習なのか』というのは、学生たちはあると思う。ただ、やるならやってしまうおうという我々(指導陣)の覚悟もある。(ゴールデンウィークの)合宿では多い日で1日16キロ走った。距離が全てではないが、当たって寝て起きてまた走るコンタクトフィットネスだったり、長距離やショートダッシュなど。試合中、最終的な強みになればいい。相手よりもボールを素早く動かし、ディフェンスでも大きな相手を2人で倒して、すぐに起き上がる。

そういうラグビーをしたいが、それは後で考ればいい。そのために今、走っている」  

 

4年時は選手兼主務。在学時にリーグ戦出場は果たせなかったが、コーチ時代を含め、長年チーム全体を見渡してきた。14季ぶりに現場復帰した中尾監督や6人のコーチとともに、組織作りには工夫を凝らす。

 

 「今は素直でまじめで、さぼらない学生が多い。ただ、わりと『答え』を求めてくる。『答え』なんかない。それを作っていくのがラグビー。自分たちで『こうしたい』というのは昔の方がある。そういう部分はもう少し鍛える必要がある。コロナ禍の影響もあったのか、ここ何年か同学年で固まる傾向にあったので、1~4年までごちゃ混ぜで班をつくって、食事したりしている。強いチームはA(1軍)だけが強いのではない」  

 

学生主体のラグビーを作り上げた岡仁詩監督(のちに部長、故人)のもと、日本代表・平尾誠二(故人)、大八木淳史らを擁した1982~84年度の全国大学選手権3連覇から40年。関西リーグ優勝も2015年度を最後に遠ざかる。  

「一つ一つ前進していけたらいい。自分たちがやってきた泥臭いことを出せるかどうか。もちろん関西リーグ優勝は目標。そこを目指してやっている。そして同志社大ラグビー部が絶対忘れてはいけない2つのこと、全国大学選手権優勝と社会で通用する人材輩出。どんな時も、この2つを絶対に忘れずやっていきたい」  春季トーナメント準々決勝(26日・たけびしスタジアム京都)ではリーグ3連覇中の京産大に挑む。“現在地”を知るには、これ以上ない相手だ。名門復活へ、はい上がる戦いは始まったばかりだ。 

 ◆酒井 優(さかい・まさる)1980年6月1日、大阪・枚方市生まれ。43歳。牧野高でラグビーを始め、一浪後に同大へ。4年時は選手兼主務。卒業後、社会人の日本新薬で5年間プレーし、07年から社業の傍ら同大コーチも務める。09年、同大職員に。現役時はCTB。家族は妻と1男1女。父・潤さん(故人)も同部OBで、岡部長のもとコーチを務めた。  

 

○…今季の同大主将はロックの寺北亘佑(4年)が任命された。22年度のフランカー梁本旺義(東京ベイ)、昨季のプロップ山本敦輝(東京SG)から3季連続で常翔学園(大阪)出身のFW選手が務める。昨季も出場し、巻き返しのキーマンとなる背番号4は「先輩方は負けが続いた中でAリーグに残留してくれた。今年ずるずるいったら同志社自体が弱くなる。優勝し、変わったというところを見せたい」と並々ならぬ決意だ。  

◇同大ラグビー部 1911(明治44)年、慶大、旧制三高(現在の京大など)に次ぐ日本で3番目に古いラグビー部として創部。63年度の第1回日本選手権で近鉄を破り優勝。全国大学選手権で80、82~84年度の4度優勝。現部員数104(選手)。主なOBに元日本代表WTB坂田好弘、同ロック大八木淳史、同SO、同監督の故・平尾誠二の各氏。