ラグビー日本代表に若手抜擢はあるか ジョーンズHCが異例のU20代表合宿視察 W杯見据え「投資」

 

 

 

 

産経新聞

 

 

U20合宿で練習試合に臨む石橋チューカ(中央)=8日、熊谷ラグビー場Bグラウンド(石原颯撮影)

 

1月にラグビー日本代表へ復帰したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が若手選手の発掘を進めている。3月上旬には、埼玉県内で行われたU20(20歳以下)代表合宿を異例の視察。「力がまだまだの若い選手でも投資することが大事。

次のワールドカップ(W杯)に向け、今から若手を育てていく」。U20から日本代表への抜擢(ばってき)も示唆するジョーンズHC。視線の先には3年後の2027年豪州W杯を見据える。 3月6日、熊谷ラグビー場で行われたU20の代表合宿に、ジョーンズHCの姿があった。練習は夜間に降った雪の影響から、室内練習場でスタート。腕を組みながら注視するジョーンズHCの姿に、タックルや連携プレーの練習を行う選手らには自然と熱気が帯びた。 

 

連携プレーの練習中、ジョーンズHCがSH高木城治(京産大)に話しかける場面もあった。「ここが空いているよと、ポジションのアドバイスをしてもらった」と高木。

 

「しっかり見てもらえているので、評価されるように頑張っています」と声を弾ませた。 練習の終盤、FW陣は外に出てスクラムを組み、約30分間、微調整を重ねた。2月に福岡で行われた日本代表の合宿にも参加したロック石橋チューカ(同)も激しく体をぶつけあい、ジョーンズHCにアピール。

スピードと豊富な運動量が持ち前の19歳は「福岡ではフィジカルなどまだまだ足りない部分を感じた。U20から段階を踏んでしっかり成長していきたい」と力を込めた。

 

 U20代表の大久保直弥HCによると、練習前のミーティングでは、ジョーンズHCが選手らに日本代表と世界の強豪の差を埋めるために必要なことを説いたという。ジョーンズHCが掲げる「超速ラグビー」の浸透を力説したとみられ、「世界に近づくためにはこの世代が最も大切だ」と訴えたという。 U20代表は4月、サモアで開催されるパシフィックチャレンジを控える。ジョーンズHCは現地入りする方針を示し「上に呼べる選手がいたら呼びたい。自身のパフォーマンスを世界の舞台で発揮できるかが条件」とも語った。 

 

実際、ジョーンズHCは2月の日本代表候補合宿で、リーチ・マイケル(BL東京)らとともに、U20世代の大学1年生3人を含む9人の大学生を招集した。ジョーンズ氏が前回(2012年~15年)代表HCを務めた際にも、当時大学2年生だった福岡堅樹を代表に抜擢(ばってき)。国際舞台を経験した福岡は後に、19年W杯で8強入りを果たした原動力の一人となった。

 

「U20から日本代表にストレートに呼ばれるのが選手にとってモチベーションになる。エディーにはすごく助けられている」。大久保HCはそう話す。今年6月以降、イングランド代表など強豪との対戦が控える日本代表に、U20の若い選手が早くも招集されるかもしれない。

(石原颯)