エディー・ジョーンズHC原石発見「ジョージとチューカ」日本代表候補に大学生9人

 

 

 

 

日刊スポーツ

 

ラグビー日本代表候補の福岡合宿最終日、笑顔を見せるエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(左)

 

 9年ぶりにラグビー日本代表へ復帰したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)が7日、初指導となった福岡・JAPAN BASEでの代表候補合宿を終えた。昨季リーグワン4強チーム所属選手を除いた34人と2日間を過ごし、印象に残った存在としてSH高木城治、ロックの石橋チューカの京産大1年生コンビを挙げた。

今回招集した大学生9人の金の卵もリストに入れながら、6月初旬の本格始動へメンバーの厳選を進める。    

 

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 仏になった? ジョーンズHCは笑顔を絶やさなかった。帝京大3年の青木の腹をさすり、ピッチ脇の施設に入ると、2日間の感想を40分近く話し続けた。9年前、選手への厳しい練習や要求を続けた名将は「どうやって最大限の力を引き出せるか。厳しいことはプライベート空間で話している」と選手に向き合い、印象に残った2人を挙げた。

 

 「ガクセイ、フタリネ。1ネンセイ。『ジョージ』ト『イシバシチューカ』」  

それは大学1年生だった。「ジョージ」ことSH高木の存在は「コンビニにいました」と冗談で笑わせた。追加招集を知らせたのは合宿初日前日の5日朝。昨秋のW杯に出場した福田健太(トヨタ)がコンディション不良で不参加となり、地元福岡市の実家に帰省していた高木に白羽の矢を立てた。初日の練習後に「(周りが)テレビの中の存在ばかり」と目を丸くしていた19歳は、ジョーンズHCが高校代表、U20(20歳以下)代表と共同で作成した、27年W杯に向けたリストに入っていたという。

京産大では途中出場が主だが「これはとてもいいサプライズ。ラック付近の速さがあり、パスもいい。すごく走れるので、そういうSHが必要」と才能を発掘した。  

 

高木と対照的に、かねて世代屈指と注目される石橋も、大きな1歩を踏み出した。合宿中は2日連続で代表主将経験者のリーチ・マイケル(BL東京)、姫野和樹(トヨタ)と自主練習。タックルや、ラックでボールを奪うジャッカルを学んだ。ジョーンズHCは「スリムで体重は今後増やさないといけないが、懸命に取り組み、学ぶ願望を持っている」と期待を込める。  

 

次回は6月初旬に集合する。同月22日には東京・国立競技場で、過去11戦全敗のイングランドに挑戦する。「6月のテストマッチでプレーする人がいるかもしれない。それは彼ら次第。私が選ぶのではなく、自分で選ばれるようになれる」。年齢に関係ないアピール合戦が始まる。

松本航】  

 

○…ジョーンズHCが経験豊富な3人に期待を寄せた。東海大時代以来となるロックに挑戦中のリーチに対しては「6(左フランカー)+4(左ロック)で『あなた10番だよ』と言った。バックロー(FW第3列)みたいなロックが必要になる」。テーマの“超速ラグビー”に結び付けた。複数回のW杯を経験する姫野、今回は不在だったプロップ稲垣啓太(埼玉)とともに「お手本の選手が必要。すごく重要な役割を果たしてもらいたい」と望んだ。  

 

○…代表候補合宿は昨年6月に開所した日本ラグビー強化拠点「JAPAN BASE」で行われた。21年末でラグビー部の活動が終了したコカ・コーラの拠点を日本協会が継承。クラブハウスの客室は縦210センチの大型ベッドを導入するなど、ラグビーのトップ選手も不自由ない設備が整っている。福岡空港からは車で30分圏内とアクセスも良い。15人制男子代表の利用は初めてで、ジョーンズHCは「このような拠点ができたのは素晴らしい。若い選手が『ここに来たい』と思えるような場所」と歓迎した。