レフリー活動に励む女子、高校2年生。太田真帆(愛知県立昭和高校)の行動力

 

 

 

 

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

観戦に訪れた花園ラグビー場で。(本人提供)

 2023年12月30日は、朝から花園ラグビー場にいた。  名古屋から友人とともに、近鉄電車に乗って聖地へ。3つのグラウンドを回って、同世代のプレーを観戦した。  太田真帆は、愛知県立昭和高校に通う2年生だ。小学校4年生の時に名古屋ラグビースクールに入った。  

 

たまたま見ていた大学ラグビーの試合に惹きつけられ、スクールに通うことにした。  中学生になっても愛知ラガールでプレーを続けた。最初はWTBで、途中からFWへ。  高校でもラグビー部に入り、男子と一緒に日々活動している。練習試合にもLOとして出場する。  部では、部員としての活動に加え、分析も担当している。  そして、本人が力を入れているのがレフリー活動だ。  機会があれば試合でアシスタントレフリーを務め、普段からレフリー目線で試合を見つめる。  顧問の先生の協力も得て講習会に参加することもある。名古屋ラグビースクールに足を運び、子どもたちの試合で笛を吹く。  2022年にはC級レフリーの資格を取った。 

 

 2023年7月にはニュージーランドへ短期留学。濃密な2週間を過ごした。  レフリーを志しているのは中学時代からだ。  ケガも多かった。レフリーなら、好きなラグビーと長く付き合っていけると思った。  名古屋ラグビースクールの先輩が、NZへの留学経験を話してくれたことがある。  

 

刺激的だった。自分も、と思った。  その先輩は、筑波大学に学びながら流通経済大学女子ラグビー部RKUグレースでプレーする星静(ほし・しずか)さん。  向上心がうずくと、すぐに行動に移した。現地の世話役の人を介し、オークランドに2週間滞在した。  7月中旬、マウントアルバート・グラマースクールへ。チームに加わってトレーニングし、U16の試合にも出た。  レフリングに特化したコーチングを受けることはなかったが、アシスタントレフリーをやる機会があった。レフリーとコミュニケーションをとる時間は貴重な経験となった。  王国でできた縁もあった。  

 

留学中、大分舞鶴から現地に来ていた部員と知り合う。  帰国後の菅平での夏合宿で再会。同校の指導者、麻生彰久さんは元トップレフリーだ。挨拶し、指導を仰いだ。  女子のトップレフリーとして活躍する高橋真弓さんに憧れる。  同レフリーが地元、パロマ瑞穂ラグビー場に来ると聞き、足を運んだこともある。  今回の花園では池田韻(ひびき)レフリーの担当試合(大阪桐蔭×鹿児島実)も見た。

 

」 「池田さんの声かけも聞きたかったので、ライブ配信も聴きながら見ました」という。 「声かけによって防げる反則を、しっかりとなくしている場面がたくさんありました。例えばキック側のオフサイド。ラック形成後のハンドも、そうですね。スクラムの判定の難しさもすごく感じました」  昭和高校は部員数が少ない(3年生が抜けて新チームは現在16名)。普段は8対8のスクラムを見たり拭いたりする機会は少ない。  そんな背景もあり、なかなか自信を持てない領域だ。  

決して恵まれている環境とは言えないから、与えられた機会と真剣に向き合う。  流れを切らずに試合を進めたいけれど、「あのとき笛を吹かずに継続していたらトライになったのに、とあとで思うこともあります」  日々の部活の中で、フィットネスを高める。ブレイクダウンを見極める目を養う。  レフリングの上達に近道はないと肝に銘じる。  FW気質の人。15人制ラグビーが好きで、将来も、そのフィールドで活躍することを夢見る。  

 

高校卒業後は関東の大学に進学してラグビー部に所属。そこでレフリーとして活動する未来図を頭に描く。  周囲で支えてくれる人たちに感謝して、思う道を歩んでいきたい。  特に、男子に混じってプレーすることを黙って見守ってくれている家族の愛が嬉しい。父はホイッスルもプレゼントしてくれた。  自分の活動を通して、女子高校生でもレフリーを目指せることを知ってほしい。  仲間が増えてくれたらいいな、と思う。  17歳の秘める可能性は無限大だ。