悲願の日本一を狙う京産大のキーマンは１年生トリオ…２３日ラグビー大学選手権準々決勝で早大と激突
関西大学ラグビーＡリーグで、３年連続全勝で７度目の優勝を果たした京産大が、今冬も全国大学選手権で念願の初優勝に挑む。２３日の準々決勝（ヨドコウ）から登場。関東対抗戦Ａグループ３位の早大と対戦する。ＯＢで就任３年目の広瀬佳司監督（５０）は、いずれも昨年度高校日本代表のロック石橋チューカ、ＳＨ高木城治、ＷＴＢナブラギ・エロニの１年生トリオの活躍に期待をかけた。
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１年生の奮闘が京産大の大会中のチーム力を底上げする。「アクセントがついて良い。若い選手が入ってきたことで、上級生も刺激が出る」と広瀬監督。左ロックでレギュラー定着の石橋は１９０センチ、９５キロでラインアウトのキーマン。「コンディションは良く、セットプレーが安定している。しっかりボールを獲得していきたい」と充実した表情だ。
指揮官も「ジャンピングスキル、キャッチングスキルが素晴らしい。スピードもあり、ゲームで貢献度が高い」と太鼓判を押す。 昨冬の全国高校ラグビー（花園）では報徳学園（兵庫）のＮＯ８として突破役を担い、同校初の決勝進出、準優勝に貢献。当時体重は９３キロだったが、大学入学後「フィジカルで通用しない」と高校とのレベル差を痛感した。激しい練習でさらに体重が減り、一時は９０キロまで落ちたが奮起。１食で米２合を食べ、３食以外にも補食と夜食をとるなど１日で約８合をたいらげる食トレと、朝夕の筋トレで現在９５キロ。「１年生の間に１００キロに到達し、将来は１１０キロになって世界と戦いたい」と意気込む。
あこがれの選手からのアドバイスが背中を押してくれた。昨冬の花園で大会中、目標とする日本代表フランカーのリーチ・マイケル（ＢＬ東京）から声を掛けられ「もっと体を大きくすれば、もっといい選手になれるよ」とエールを送られた。「うれしかった」。その言葉の意味を大学ラグビーのコンタクトの激しさで体感したが、地道な努力で食らいついてきた。元日本代表ＳＯでＷ杯３大会出場の広瀬監督も「将来的にはリーチみたいな選手になってほしい」と石橋が今後、日本代表入りできる逸材だと見込む。
バックスでは、控えＳＨの高木が昨冬花園Ｖメンバー。東福岡の９番として、決勝では石橋ら擁する報徳学園を４１―１０で破っている。大学では「一瞬のパス、コンタクトのスピードが違う」と驚き、慣れない関西での生活も同じ東福岡出身のＷＴＢ松岡大河（４年）ら先輩に助言をもらいながら、今ではすっかり京産大の一員だ。
「後半から出場したら結果に直結するので、局面によって流れを変えたり、時間の使い方を考えたりしたい」とシミュレート。広瀬監督も「スキル的に問題ない。チームに活力を与えるプレーを」と期待する。
控えＷＴＢのナブラギはフィジー出身。大分東明３年時の昨冬、花園に出場している。１８６センチ、１００キロの体格と、５０メートル６秒１のスピードを兼ね備えているのは脅威。「僕はセンター（ＣＴＢ）もできるし、フィジカルに自信があります。後半から出てもバチバチいって、トライを取ります」と意欲。指揮官も「ボールキャリアでチームをどんどん前にもっていってくれる」と投入時期を見計らっているようだ。
４年生にとっては最後の全国大学選手権。石橋は「最初は自分のことで精いっぱいだったが、今は周りの声が聞こえる。しっかり体を張って、アタックもディフェンスもひたむきにプレーしたい」。先輩たちと共に頂点へ突き進み、京産大の新たな１ページを開く。
◆石橋 チューカ（いしばし・ちゅーか）
２００４年４月１０日、米ニューヨーク生まれ。１９歳。父がナイジェリア人、母が日本人。０歳の時に兵庫・姫路市へ移る。９歳から姫路ラグビースクール（ＲＳ）で競技を始め、中学１年まではバックス。２年時に兵庫県ＲＳへ移籍しＦＷに。報徳学園では２、３年時に花園出場、３年時は準Ｖ。ポジションはロック、フランカー、ＮＯ８。１９０センチ、９５キロ。
◆ナブラギ・エロニ（なぶらぎ・えろに）２００４年４月８日、フィジー生まれ。１９歳。８歳からラグビーを始め、クイーンビクトリア中時代は陸上・砲丸投げ選手。大分東明高へ進み、３年時に花園出場。ポジションはＷＴＢ、ＣＴＢ。１８６センチ、１００キロ。
◆高木 城治（たかき・じょうじ）２００４年９月１１日、福岡市生まれ。１９歳。３歳から、かしいヤングラガーズでラグビーを始め、中学までプレー。東福岡では３年時に花園優勝。ポジションはＳＨ。１６４センチ、７０キロ。