季節はずれの夏のホラーミステリー小説。
道尾秀介さんの、向日葵の咲かない夏を読みました。
うわぁ……
凄い。終始背筋がゾクゾクしていた。寒い日が続いてるっていうのに、もっと寒くなったよ。
あらすじ～
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だかその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追い始めた。あなたの目の前に広がる、もうひとつの夏休み。
という事だったんだけど、乙一さんの「夏と花火と私の死体」を昔読んでいたので、それと近いものを感じて買ってみたの。
今回の 向日葵の咲かない夏は、登場人物がみんなねじ曲がっている。みんな、それぞれ狂っていて、歪な世界観を共有している。
死んだ人が、何かに生まれ変わって主人公と密に関わっていく。
ごく普通に見える小学生の男の子。一見淡々とした日々の生活。
そこに加えS君の死、死体消失、動物殺しなど、色々な謎を解き明かしていく物語なのだけど、最後の最後まで真の謎は隠されたまま。
「あぁ…この人が犯人だったんだ」「カラクリはこうなってたんだ」って分かった！！と思って読み進めていくと、真相が違う事に気付く。読めば読むほど、疑問が出てきて謎が深まる。何度、騙されたか。
歪んだ世界と、主人公のねじれた主観を読者の興味を引きつけたまま描いているなぁと思いました。
人間の心理をつついてくる作品で、とっても面白かったのでぜひ読んでみてください。
そして
最後の最後まで…
騙されまくって下さい。