30分だけの電話。(由依×理佐) | mimimimi◢͟│⁴⁶ 小説

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電話のコール音が部屋に響き渡り、画面に表示される名前を見て驚く。

ーー渡邉理佐。

その名前が表示される画面をずっと見ていたくて、すぐに押せない応答ボタン。

そろそろ切れちゃうかも。
そんな気がして慌てて応答ボタンを押す。

押した瞬間、携帯を通して繋がれたみたい。


「あーーー由依?」

「そうだよ」


自分から電話をかけたのに、名前を確認するあたり理佐らしくて思わず笑みがこぼれる。

ずっと一緒にいるけど、電話なんかしたことない。いや、むしろ初めてな気がする。


理佐とは去年同じクラスで、ずっと一緒にいた親友でもあり…私の片想いしている相手。

今はクラスが離れてしまって、去年のように毎日会えないし、話せない。

そんな状態が悲しくて、ずっと繋がっていたくて、必死にLINEを続けている。


「急にどうしたの?」

「なんか、由依の声が聴きたくなっちゃった」


こういうところ。

理佐のこういうところ、ずるいって何度も思う。人をキュンとさせる言葉を無自覚で言うところ。


好きだな〜〜。


携帯から聞こえる理佐の声を独り占めしたくて、イヤフォンをつけて直接耳に届くようにする。

両耳から理佐の声が聞こえて、理佐に満たされる気がして、ニヤけが抑えれない。


それから、話が途絶えることなく、いろんな話が続く。

あのカップルの話とか、今のクラスのこととか、他愛もない話がだらだらと。

他の人ならもう切ろうかなって思う時間すらも理佐となら繋がっていたくて。


「「あ!」」

2人の声が重なった。
きっと理佐も話したいことがあったはずなのに、いつもこういうとき私を優先してくれる。

「なに?」

そういう優しいところも好き。


いつの間にこんなに理佐を好きになっていたんだろう。

「他の誰よりも好きだよ」
そんな言葉が理佐に言えたら少しでも楽になれるのかな?

なら今すぐに言いたい。

だけど言えない。

理佐は私のことなんか好きじゃない。


「あ!そういえばね、バイト先のあの人がね…」


ほら。

また違う人の話をする。
私ではない誰かの話。

その話を聞いて、私はこう言うんだ。
気づかれないように、届かないように、壊れないように。


「上手くいくといいね。」

「思ってないでしょ?」

「思ってるよ?なんで…?」

「だって由依、私に恋人出来たら悲しいでしょ?…なんちゃって。」


びっくりした。心臓が飛び出すかと思った。理佐に知られてるのかと思った。

そうだよ、理佐。
理佐に恋人出来たら悲しいよ。

出来ないでほしい。
バイト先のあの人の話ももう聞きたくないよ。

私だけを見ていて欲しい。

なんて想いも、心の中で爆発するだけ。



「そろそろご飯食べるね。バイバイ」

「…バイバイ」

「寂しい?ふふ。ありがとうね。」


急に部屋が無音になった。
愛おしい人の声も聞こえなくなった。

ずっとずっと聞いていたかったなぁ。

たったの30分だけだったけど、誰にも邪魔されず、私と理佐だけ。二人きりの世界だった。

なんて幸せな30分だったんだろう。

戻りたい。


理佐の好きが増して、さっき声を聴いたばっかりなのに、また理佐の声が聞きたくなる。会いたくなる。抱きしめられたくなる。


いつか、この想い届くといいなぁ。