理佐の両親は優しくて、言わなかった。
「汚い」とも「なんで拾ってきたの」とも。
理佐の優しさは両親譲りなんだなぁ〜って。
そんな理佐とも出逢って二年が経った。
理佐は高校受験を控える、受験生になった。
「やだよ〜勉強したくなんかないよ〜」
私を後ろから抱きしめて、現実逃避をする理佐。
勉強って人間だから出来ることであって。
猫は出来ない。理佐の辛さを分かることなんて出来ない。
だけど、理佐の夢は叶って欲しいから。
首に回された腕をガブッと一噛みした。
「甘えるな」
「いったぁぁい!!」
理佐は私から離れて机に戻り、教科書と睨み合う。
そんな理佐を遠くから見守る。
なんだろう。最近、理佐を母親に似た気持ちで見てしまう。
大人になんかなりたくないのに。
本当はあの頃みたいに一緒にハシャギたいのに。
なんでだろう。
────すごくさみしい
ガチャ
「いってきまーす」
バタン
「はやいねえ、愛佳。理佐も成人式だって」
理佐のママが私を抱きしめてそう言う。
月日の流れっていうものは、とてもはやくて。
気づいたら理佐と出逢って7年という月日が経っていた。
この頃にはもう心に決めていた。
今時なんて古風な、と近所の猫仲間からは笑われた。だけど、昔ながらの猫としての最期を迎えようと…死期を悟ったらそっといなくなろうと。
一瞬の儚さや尊さ。
全てを分かったつもりでいたけれど、それでもどうしたって…
“永遠”に憧れずにはいられなかった────
理佐の寝顔を見ながら浮かび上がる今までの想い出。
拾ってくれたあの瞬間から、今まで。
全ての想い出が流れて行く。
すごく私を愛してくれたな〜。
私も君を私なりに全力で愛した。
私を「かわいい」と言ってくれたのは、君が初めてだったんだ。
続