拾われたあの瞬間から。3 | mimimimi◢͟│⁴⁶ 小説

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理佐の両親は優しくて、言わなかった。
「汚い」とも「なんで拾ってきたの」とも。

理佐の優しさは両親譲りなんだなぁ〜って。


そんな理佐とも出逢って二年が経った。
理佐は高校受験を控える、受験生になった。


「やだよ〜勉強したくなんかないよ〜」


私を後ろから抱きしめて、現実逃避をする理佐。

勉強って人間だから出来ることであって。
猫は出来ない。理佐の辛さを分かることなんて出来ない。


だけど、理佐の夢は叶って欲しいから。



首に回された腕をガブッと一噛みした。


「甘えるな」

「いったぁぁい!!」


理佐は私から離れて机に戻り、教科書と睨み合う。

そんな理佐を遠くから見守る。




なんだろう。最近、理佐を母親に似た気持ちで見てしまう。

大人になんかなりたくないのに。

本当はあの頃みたいに一緒にハシャギたいのに。

なんでだろう。


​────すごくさみしい
























ガチャ


「いってきまーす」


バタン


「はやいねえ、愛佳。理佐も成人式だって」


理佐のママが私を抱きしめてそう言う。


月日の流れっていうものは、とてもはやくて。

気づいたら理佐と出逢って7年という月日が経っていた。





この頃にはもう心に決めていた。


今時なんて古風な、と近所の猫仲間からは笑われた。だけど、昔ながらの猫としての最期を迎えようと…死期を悟ったらそっといなくなろうと。



一瞬の儚さや尊さ。
全てを分かったつもりでいたけれど、それでもどうしたって…

“永遠”に憧れずにはいられなかった​────





理佐の寝顔を見ながら浮かび上がる今までの想い出。

拾ってくれたあの瞬間から、今まで。
全ての想い出が流れて行く。



すごく私を愛してくれたな〜。
私も君を私なりに全力で愛した。






私を「かわいい」と言ってくれたのは、君が初めてだったんだ。