理由が分からないのに一方的に怒られて悔しいあかりは、
予報チャンネルをじゃんじゃん使うことに決めたよう。
「そうだっ!憧れのアキラくんと結婚できるか予報してもらおう!!」
大胆な予報を試みてウキウキしていたが、
『絶対に有り得ないでしょ~う♪
むしろそんなことを考える時間さえ無駄でしょ~う♪』
衝撃の結果に天から地へと突き落とされた気分になる…。
あかりがそんなことをしてる頃、
千帆はあかりとの2ショットをしんみり眺めていた。
つい強く言ってしまったことを後悔しているようだ。
写真立てをそっと手に取ると、
「えっ!?」
なんと、その裏に予報チャンネルのリモコンが隠れていたのだった…!!
ボタンを押すと以前見たものと同じ番組が始まる。
それを見て、勢いのまま試しに使ってみようとルーズリーフを取り出すが、
脳裏にあかりの顔が浮かび、ペンを止める。
「ううん、私はこんなものに頼らない。」
予報チャンネルを消して、引き出しの奥にリモコンを仕舞い込んでしまったのだった。
一晩悩んだ結果、千帆はあかりに謝ることにした。
あかりも千帆の話を聞くつもりだったが、
他の子に遮られてしまう…。
謝る機会を見失ってしまい、2人は仲直りできないまま。
千帆とあかりは、それぞれ別の子と休み時間を過ごすようになる。
そんなあかりに憧れのアキラくんが話しかけてくるが、
あかりは無視して友達と廊下へ出て行ってしまう。
「見込みないものに力注いでも時間のムダだし。
あたし、ダンサーになる夢も諦めたから。」
この発言には友達も驚く。
あかりはすっかり予報チャンネルに振り回されていた…。
テストは毎回満点。好きな人も夢もバッサリ切り捨てる。
そんな要領の良い人生を送るが、物足りない毎日。
だらだらと過ごすあかりを母も心配していた。
「来週千帆ちゃんの誕生日じゃない。今年は何プレゼントするの?
あかりはパンダのぬいぐるみを貰ったのよね~」
寝そべっているあかりにそう声をかけるが、
あかりはそんなことすらも忘れかけていたのだった。
というより気づきたくないがためにカレンダーは意識して見ないようにしていたのだった。
「もう戻れないのかな…」
その頃、千帆も同じことを母に言われて黙り込んでしまっていた。
食事が喉元を上手く通らない。
「───あ、そうだ。」
そこで千帆はひらめいた。
使わないと決めていた予報チャンネルのリモコンを引き出しから取り出すと、
FAXを出してリモコンのボタンを押したのだった。
「あかりと仲直りできるか、予報お願いします!!」
その頃、あかりも同じことをしていた。
去年の誕生日に、千帆にもらったパンダのぬいぐるみを抱いて祈りながら…。
しかし、予報チャンネルはこう言った。
『2人には絶交警報が出ていま~す♪二度と仲直りできないでしょう♪』
それを見て、ベッドに倒れ込む2人……。
ある日の小テストでは、千帆が満点を取って先生に褒められていた。
あかりは毎回満点。しかしそれはあくまでも予報チャンネルの力を借りたもので、
実力で満点を取った千帆の喜ぶ顔を見て複雑な気持ちになる。
そんな気持ちでいるにも関わらず、明日の放課後クラスメートと遊ぶ予定が入ってしまった。
帰宅し、カレンダーを見つめる。
明日は千帆の誕生日なのだが、
「どうせ仲直りできないんだし…」
塗りつぶしてなかったことにする…。
そして誕生日当日の朝。
あかりが来るものとして母は用意を張り切るが、
「もう13歳だからしなくていいよ。」
と強がる千帆。
そんな千帆を母も心配そうに見つめる。
同じ頃、あかりも去年もらったプレゼントのパンダのぬいぐるみを見つめていた。
「どうせ仲直りできないんだもん。無駄だよ、無駄…」
パンダのぬいぐるみを壁に向けて置きなおす。
その後ろ姿はどこかしょんぼりして見えた…。
放課後になり、あかりは千帆を見つけて話しかけようとするが、
千帆の憧れのケンタくんに邪魔されてしまう。
しかも、千帆の顔は嬉しそうだった。
「なんだ、そっか…」
楽しそうに話している二人を見て、
あかりはクラスメートと遠慮なく遊ぶことに決めたのだった。
しかし、千帆はすぐさま帰宅して一人で写真立てを見つめていた。
あかりとの2ショット写真を眺めて、とても寂しそうに…。
そんな頃、あかりの部屋にクラスメートが遊びに来た。
一緒にお菓子を食べてワイワイ騒ぐ…が、心から楽しめないあかりが居た。
常に裏返しのパンダのぬいぐるみが気になっていたのだった。
それを見て、去年の誕生日を思い出していた。
今と同じ場所に千帆と2人で、幸せな誕生日だった。
今日そうなるはずだったのに、
あの楽しかった時間はもう戻ってこないの?
来年も再来年も……
考えれば考えるほど憂鬱になる。
そこに委員会で遅れてきたクラスメートがもう一人合流した。
学校を出てくるときに面白い話を聞いてきたと盛り上がっていたのだが、
「ケンタくんが藤井さんに告白して振られちゃったんだって」
その内容に驚きを隠せないあかり。
モテるケンタくんは今日が千帆の誕生日であることから
お祝いしようと自信満々に誘ったらしいのだが、
"約束してる人がいるから"とあっさり断られてしまったらしい。
「でも不思議なことに、さっき藤井さんが一人で公園にいるの見ちゃったんだよね。
…あ、約束してる本命を待ってるってことなのかな!?」
キャッキャッと無邪気に盛り上がる二人の言葉で目が覚める。
「──それ、あたしのことだ。」
「あたし、行かなきゃ!」
千帆はあかりと過ごす誕生日を信じて待っていたのだ。
予報チャンネルのリモコンを投げ捨てて、
公園へと全力で走り出した。
自分の人生を、全て予報チャンネルなんかに決められたくない、
ダンサーの夢もアキラくんのことも大事な友達までも諦めたくない、
そう思いながら必死に風を切って走る。
「ダメだよ、千帆だけはダメ!」
千帆がまだ公園にいることを信じてただ走り続けた。
その頃千帆は公園のブランコに座り、
目の前を通り過ぎる女子2人を眺めていた。
「もうあんな風に戻れないのかな…」
半ば諦めていた、そのとき、
大きな声で叫びながら階段を駆け上がってくる…あかりが現れたのだ。
あかりはただ必死に謝った。
千帆もその言葉を聞いてすぐに謝り返したのだった。
お互い本当は仲直りがしたくて仕方がなかったのだから。
「千帆、お誕生日おめでとう」
「ありがとう、あかり…!」
「でも私、何もプレゼント…」
「何言ってんの、あかりが居れば十分だよ!」
そのときハッと思い出したあかりはポケットを探り、中にあったものを取り出した。
それは千帆が落としたお揃いのヘアクリップだった。
「ありがとう!探してたんだ!!」
自分でヘアクリップを留めようとするが、上手くできない千帆。
あかりが丁寧に留めてあげた。
自然と頬がゆるむ千帆にあかりもつられて笑う。
こうやって笑いあえる日が来るのを2人とも本当に心待ちにしていた。
「やっぱり、予報チャンネルって凄いね。」
突然そう言い出す千帆にあかりは驚くが、
実は千帆は、あかりに会える場所を予報チャンネルに予報してもらったのだと言う。
「でもさ、あたしと千帆の予報は、大ハズレだったね。」
「…そうだねっ」
照れくさくって笑いだす。
「ねぇ千帆、来年も再来年も、ずっとずっとお祝いしようね。」
手を固く繋ぎ公園の階段を下っていた。
「…あれ、でも、何か忘れてるような…」
部屋に置き去りにしてきたクラスメート2人の存在を
綺麗サッパリ忘れていたのだった…!!
その当人たちは、あかりが見ていた予報チャンネルのリモコンをいじっていた。
すると、裏に注意書きを見つける。
「"予報チャンネルはあくまでも予報。99%の確立です。
残りの1%、あなたの未来はいかようにも変えられます。"…何コレ?」
あかりと千帆は、残りの1%の難関をお互いの相手を思いやる気持ちで乗り越えた、ということだったのだ…!
「まずい!あの2人のこと忘れてたッ!」
慌てるあかりの後を千帆も笑ってついていく。
きっと今年は、2人にとって一生忘れられない誕生日になるだろう。
それは、どんなケーキよりもどんなプレゼントよりも、
心に残る大切なものになったのだった───…。
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ついに中学校名を考えるのを止めたか(笑)
子どもの部屋にテレビやFAXがあるって…wwww
ま、それ言い出したら、今回のドラマ成り立たないですよね(笑)
天ドラにやたら出てくることで有名な「ど根性タケノコ」。
進研ゼミの付録やん。
Eテレ感。
本当に仲の良いコンビだからこそ今回の話は響きますね。
同期同い年同性で卒業も同時って歴代でもあんまりないコンビですしねぇ…。
特にこの二人は卒業してからもずっと仲良かったから。
…って書くと今は仲良くないみたいな感じだけどそうじゃなくてww
離れていても信頼しあえている良い親友なんだなぁって、
今でもこの二人の関係はまぶしく映って見えます。
女の友情はドロドロしたものとよく言われますが、
何というか…距離感が難しいのかなぁ。
今作でも描かれてましたが、
"一緒に休み時間を過ごさない=友達じゃない"みたいなところがありますよね。
でも、千帆とあかりのように親友関係であれば
決してドロドロしたものではありません。
喧嘩できるってことはそれだけ仲が良いんですよ。
その事実って…よく考えるとすごく有り難いことですよね。
次回の名作選は特別編を予定しています!