彼の下痢がますますひどくなってきた。
見た目はなんでもないんだけど、オムツの中は大変らしい。
皮膚に汚れが不着することで、炎症を起こしている。
お尻周辺の皮膚がかなりただれているらしい。

看護師さんがマメに変えてくれ、その都度クリームを塗ってくれてはいる。

車いすに座ることすら困難なときがある。
今日はとても不調のようで、ベッドも辛そうだ。

もし、寝返りで横向きに寝られたら、お尻が浮いて楽なんだろうけど、
今の彼はあおむけにじっとする事しかできない。


頑張って足の位置をずらそうとすると、まだコントロールが定まらず、
ベッドの柵、車いすのどこかにぶつけ、傷を作ってしまう。

彼の左かかとに包帯がある。
どうしたのか聞くと、ベッドのどこかに強くぶつけたため
深く切ってしまい、かなり出血したとのこと。

今目を閉じている彼の眉間の皴は、
熱っぽくてしんどいの?
踵が痛いの?
お尻が痛いの?
もしかして脳の出血がまた始まったの??

本当は、心にそんな不安を抱えながら私は常に彼を観察している。
小さな変化が良くも悪くも重要だったりする。

観察、なんていうと、理科の授業を思い出したりするけど
必要な時だけじろじろ見るのがここでいう観察ではない。
無理やり違いを見つけ出そうとするのもここでいう観察ではない。
気が向いたときだけ興味を持つことでもない。

結局常に関心を持ち続けることだと思う。
なんとなくいつもと違うっていう感覚は、無関心では起こらない。

関心なんて無理やり持つものではない。
夫婦、恋人、家族、友人、大切に思う誰かのことなら
ちょっとみただけで普段と違う、違和感を感じることができる。

作業療法士さんのリハビリが始まった。
なんとか起き上がり、手先のリハビリを行った。
でも、お尻が痛すぎてすぐに切り上げてしまった。

理学療法士さんのリハビリの時間は、起き上がることもできなかった。
運動のかわりに、足のマッサージをしてくださった。

言語聴覚士さんのリハビリはベッドに寝たまま行った。
彼は、舌をかすかに動かす以外、今日はできなかった。

明日はきっと今日よりもマシになっている、
そんなことを心で唱えながら、面会時間の終了とともに病室をでた。

それにしても、同室の患者さん達に面会がない。
全員少し年輩の患者さんのようだ。
毎日静かだ。