遠まわりする雛×ふたりの距離の概算 | 匂い松茸 味えのき

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どうもこんにちは
後期の履修をどうしようか悩んでおりますえのきです。

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はい、というわけで話を戻しましょう。
小説読み終えた2冊分、一気に感想書いてしまいます!
ネタバレ含みますのでお気を付けください。



遠まわりする雛/米澤穂信
ふたりの距離の概算/米澤穂信



とりあえず今刊行されている古典部シリーズは読み終えました。
「氷菓」や「愚者のエンドロール」、「クドリャフカの順番」とは違って、「遠まわりする雛」は短編集となっています。
アニメでいうと、序盤の「大罪を犯す」や「正体見たり」、
終盤の「心当たりのある者は」や「あきましておめでとう」など。
古典部の1年間がギュッとつまった作品ですね。
順番に読むと「クドリャフカの順番」の次に「遠まわりする雛」を読むことになって、時間軸が5月とかに戻ってしまうので、ちょっと違和感はあるかもですが。
個人的には原作だと
「あきましておめでとう」と表題作でもある「遠まわりする雛」が好きですね。
ホータローとえるの距離感が徐々に変化しているあたり
すごく書き味が上手いなと思います。
緩やかな変化、そこにおいてこそ最後に「遠まわりする雛」なのであり、まさに表題にふさわしい作品。
あと、個人的に原作とアニメを比べたときに
アニメの出来がいいなあと思ったのが「手作りチョコレート事件」です。
いい意味で、里志の苦しんでる感が原作より表に出たかなと思います。
まあ人間の表情ですから、絵があったほうがそりゃ表現しやすいかもですが
苦しんでる“表情”というよりは“態度”ですかね、
里志にスポットが当たっていないときに画面の隅に映る彼の態度とかが、すごく上手いなと思いました。
原作のほうがもっと細かい心情変化など書いてありますが
それを文字でなく映像で言葉にすることなく表現するのはなかなか難しいと思うのです。
それがこの「手作りチョコレート事件」ではできていたように思います。


さて、「ふたりの距離の概算」ですが
「遠まわりする雛」で古典部の1年間が描かれたところから、
必然的に彼らは高校2年生になっています。
いい意味で予想どおり、後輩が絡んできます!
ホータローの不真面目っぷりがかなり発揮されてます(笑)
マラソン中に記憶を呼び起こしたり、他人に話しかけたりと、やたら体だけでなく頭も使っている彼。
記憶をたどっては、それが伏線伏線伏線で、えるや里志、摩耶花に話しかけては自分の思考の裏付け、そして最後に全部回収!というさっぱりすっきりな感じ。
私は好きですね~かなり回りくどいなとは思いますが(笑)
大きなくくりで一つ謎があり、
小ネタでいくつも謎がちりばめられているのも読み味があってよかったです。
話の区切り方も、「現在○km地点、残り○km」みたいなの
凝ってて面白いなと思いました。
あとは、里志と摩耶花の関係が一段落ついたことが衝撃!
まあいつかはそうなるだろうとは思ってましたが
そこに話の重点を置かずにあっさり話の流れで当然のごとくぽーんと放り投げてきたあたり、米澤さんさすがです(笑)
里志の「こだわらないこと」にこだわるという精神
なかなか面白いですよね。
私は「こだわること」にこだわりがないので。まあ要するに普通です(笑)


古典部員もようやっと2年生になりました!
彼らの高校生活はまだまだ先が長いですね!・・・いいなあ!←
古典部シリーズ、今のところの分を読み終えたので
次は何を読もうかと悩んでおります。
たまにはエッセイみたいなのも読んでみようかな。