みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/02/14(木) ~ 2013/02/17(日)
会場 戸野廣浩司記念劇場
脚演出 イマダトム
料金 2,500円 ~ 2,800円
サイト http://ichigeki-hissatu.jimdo.com/


FUNNY TRAVEL、それは死んだ者たちが天国でも地獄でもなく、空に上がる為の奇妙な旅だった。死者は死神のヤマオカに連れられて旅をすることになった。どうやらこの旅でまだ死にきれていない仮死者をあの世に行かせるか、現世に戻らせるかの選択をするようだった。主役は少女ミサキ。彼女は幼少の頃から病弱で入院していた。そんな環境を危惧し、両親に入院費の負担をさせまいと、死にたいと願っていたミサキ。ここまで話すと、この物語は命の尊さをテーマにしたものなのだな・・と、誰でも先読みすることが出来るはずだ。


事実、そのテーマに沿って死神のヤマオカ、悪魔のような大天使・ミスリル、その弟子のイシカワ、気弱な悪魔のクロダをスパイスに死出の旅物語だ。死出の旅に参加する個々のキャラクターの立ち上がりが絶妙。演技力の面で素晴らしかったのがトキサカ(中山和久)だ。あくまでも冷静沈着で自然な感じの演技がいい。そしてイシカワとクロダのタッグが素敵だ。特にクロダの表情が素晴らしい。立ってるだけで笑えるとは、このことだ。


クロダは悪魔のくせにあくどい事が出来ない天使キャラで、死んだと思ったクロダが起き上った時の髪の爆発度があまりにも絶妙だった。本人は意識してなかったようだけれど、ワタクシはツボって、笑いが止まらなくなり、ひじょうに困った。笑いを堪えるのにむしろ苦しかった。笑


そしてヒバリガオカの一人コントも楽しかった。よくよく考えると、コメディとしては確立していたように思う。一方で残念だったのは主役のミサキの演技力だ。「えっと・・、主役よね?」と念を押したいくらいの演技力。また、この物語に大天使・ミスリルは必要なかったように思う。他のキャラクターと完全に孤立していたし、その灰汁の強さは今回のコメディ向きではなかったように感じた。

キャストの演技力に差はあったものの、全体的には楽しめた舞台だった。どちらかというと、疾走的なコメディではなく緩~いナンセンスコメディ。