みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2013/01/04(金) ~ 2013/01/07(月)
会場 サンモールスタジオ
脚演出 佐山泰三(サンモールスタジオ)
料金 3,000円 ~ 3,500円
サイト
http://www.sun-mallstudio.com/saigo.htm

主人公は櫻井智也(櫻井智也)。登場人物と役者名が同じ場合、本当に櫻井はこうして生きてきたんじゃないかって錯覚できるからいいよね、笑。 実際、櫻井はそんな雰囲気を醸し出してる役者でもあると思う。


15年前、犬山は櫻井景子(みぎわ)大阪道頓堀付近で出会う。そして、結婚と同時にあっさりと自分の姓の犬山を捨て妻の姓である櫻井を名乗る。そして、ビッグになれない輩がよく吐くセリフ「俺はビックになるんだ!」と言いつつ、妻子を残して単身上京してきた売れない芸人・櫻井。


そして5年前、新宿花園通りでBAR MEGUMIのママ(松葉祥子)を饒舌に騙し、金を貢がせる。更に3年前、戸山ハイツでゴミ収集所にて深夜にゴミを捨てたことから自主警備員のりん子(川添美和)に説教される。そして今から2年前、今度は看護師のミオ(藤井沙央理)をたらしこみ、彼女が住む新大久保のマンションに通う日々。更にタレントのユカ(綱木夏)とも関係を持つ。


こうして櫻井はビッグになる代わりに、妻子の他に、3人の女性と関係を持ちウハウハ状態でヒモのように暮らしていたが、ある日、交通事故で死亡(実際は殺された)したのだった。


恋人であるBarのママ(クリスチャン)の発案で、キリスト教には意味の無い49日経ったところでお別れ会を開くことになった当日。彼と関係のあった者たちが集り、この席で、櫻井が過去に起こした罪、そして19歳~24歳までを刑務所に入っていたこと。出所後、彼に殺された被害者の遺族が犬山を探したが、見つからなかった経緯を説明し、やがて櫻井と名前を変えていたことなどを加説し、こうして彼女たちは櫻井に正義のジャッジ(罪の代償・櫻井の完全なる消去)を下すことを決意したのだった。


物語は始終、コミカルに展開される。テーマは重いのに、そう感じさせないのはコメディ化されているからだ。演出方法によってはホラーにも成りえるほどの肉の晩餐だ。人肉かどうかのギリギリのラインで巧みに逃げている場面が可笑しい。また、みぎわの歌唱力に仰け反る。あまりにも素晴らしく心に響く声だった。


一方で目立たないけれど、どこにでも居そうな藤代智己の存在感が大きい。世の中の不条理を全て抱えてしまっているような演技力が素晴らしい。地なのか演技力なのかは解らないけれど。しかし彼を観ていると妙に自分の幸せ度を強く感じて安心してしまうんだよね。