みさの小劇場ウオッチ日記


公演期間 2012/12/15(土) ~ 2012/12/26(水)
会場 新宿眼科画廊
脚演出 三浦直之
料金 2,200円 ~ 3,000円
サイト http://llo88oll.com


2009年、2010年の再々演。
会場に入ると、わいわいがやがやと人のざわついた音が流れてる。この音だけで懐かしい気持ちになる。そうだ小学校って、このざわついた感覚なんだよね。
六(亀島一徳)がトビ(森本華)に好きって告白するシーンから。この場面も実に初々しくて可愛い。しかし、トビは六に対して素っ気ない。それもそのはず、六の後ろに隠れて六の告白シーンを応援している八(篠崎大悟)のことが好きなトビ。


人間ってのはどうゆう訳か、こんな場面が多すぎる。好きでもない人に好かれ、好きな人は別の誰かを好きっていう、ちょっとしたリサイクルみたいな記号が出来上がってしまう。しかしトビだって黙って見過ごしてるわけではない。自分で脚本を作り、それを八に演じさせ、その虚構の中では八がトビを好きになってる、というさまだ。この場面が実に愉快だ。


小学生の頃の女子は、そして中学生の頃の女子も、高校生の女子も、大人になった女子も、どうしてこんな風に少年の心をちくちく刺すような真似ができるのだろうか。男子より一回りも二回りも上をいく女子のプライオリティーというのはそんなものかもしれないが。


ワタクシはこの場面がこの物語の一番好きなところで、トビは八の心を自由に操って自分の思うがままにさせてしまうのだ。更にトビに叱られて涙ぐむ小学生の八が可愛い。


何処か闇を抱えた教師、ペットの陽炎、人間でない空の登場など、浮世離れした教室だが、観客は実体のない悪の想念みたいなものと、夢想的なものと楽天的なパッションとが入り乱れる空間に目隠しされてちょっとした猛獣のすみかに放り込まれたようなものだ。


だけど、この空間は確実にあの頃の思い出とダブル。その思い出は優しげで温もりがあって、放課後にはピアノの音が響いていた。そんな埃っぽいあの教室を二十回も頭で繰り返せば元気が出る。たぶん。