みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2012/12/21(金) ~ 2012/12/22(土)
会場 町田市民ホール
料金 5,250円 ~ 8,400円
S席8400円
R's triangle S席7350円/シニア席5250円
サイト http://ongakuza-musical.com/sakuhin/ghost.php


知り合いからクリスマスプレゼントされた舞台。なんて粋な計らい・・と感心しながら町民ホールまで乗り込む。笑


入江ユキ35歳(宮崎祥子)はアパレル業界で注目されている、美貌のファッションデザイナー。世界的に有名なユキは時間に追われ、次第に傲慢で嫌な人間になっていた。ところがファッションショーのリハーサル当日、ほんの息抜きのつもりで出かけたドライブ中に、自動車事故で死んでしまう。突然の出来事に、自分でも死んだことに気づかないユキは、リハーサル会場へゴーストとなって現れる。しかしもちろん、その姿は誰にも見えず、声も聞こえない。


そこへ天界からガイド(広田勇二)がやってきた。ガイドの言葉に驚くユキ。しかし「まだ生きる、まだ死ねない」という強い思いがわきおこり、ガイドの説明を振り切って夢中で逃げ出してしまう。そんな雨が降る夜の街を呆然と彷徨っていたユキは、高台にある公園でデザイナーを志し生きる美大生の服部光司(安中淳也)と出会った。ユキのひとり言に思わず返事をする光司。パワーの強い幽霊は、午前零時から三時までの間(霊界タイム)だけ、生きる人間の目に見えたり、声が聞こえたりするらしい。


途方にくれていたユキは光司の優しさに触れ、孤独なユキの心に温かいものが流れる。そしてユキは、この世の中でやり残してきたことが、「人を愛し素直に生きること」だと気づくのだった。しかしお互いに惹かれ愛し合うも自分がゴーストだという事を光司に告白できないユキは光司に触れることも出来ない。そして自分の人生を振り返り、もっと上手く自分をデザインすれば良かったと後悔するのだった。


そしてやっとの思いでユキを見つけたガイドに「今日一日だけ生き返らせて」とお願いする。こうして人間に戻ったユキは光司と結婚式を挙げ、ユキが生きた何十年にも勝る価値のある濃密な一日を過ごすのだった。しかし、時間と共に別れはやってくる。全てを話して旅立つユキは「生まれ変わって必ず逢いに行くわ」と光司に伝え、光司は「生まれ変わった君を必ず見つけるよ」と誓う。こうして光司は25年、彼女を待ち続け、その場所で「もう24時か・・。」と呟くと、「魔法が解ける時間ね」と呟くキュートな女の子を見つける。

「死」を通して「生命の尊さ」「生きる勇気と希望」を描いたこの作品は、童話のメソッドに裏打ちされた物語で、知らず知らずに観客を惹き込み、やがて普遍的な心理へと導いていく。お洒落で骨太な「大人の童話」だ。また、ファッションデザイナー・コシノジュンコ氏による衣裳でファッション業界の物語に、より説得力を与えていたし、これらの衣装を着用したモデルは背が高くスタイルも抜群だった。だからオープニングの本格的なファッションショーは煌びやかで美しかった。


物語を脚色するセリフの一つ一つが素晴らしい。また変わらぬ愛を貫く光司の一途さにヤラレル。誰でも一途に愛されたいものだから尚更だ。この世の出来事に偶然なんてない。全ては必然だ。という神々しい言葉もここでは光る。
素晴らしく感動的なミュージカルでした。