みさの小劇場ウオッチ日記

正道 ~桃太郎における海賊ハイジャック的解釈~  

公演期間 2012/12/05(水) ~ 2012/12/09(日)
会場 サンモールスタジオ
脚演出 宇野正玖
料金 3,000円 ~ 4,500円
サイト http://kyjack.com/stage/14th


日本の童話「桃太郎」をベースに海賊ハイジャック風の残虐な寓話に虚構化した物語。


とある孤島に住む鬼王こと島の御宗家様は先祖代々人の肉を喰うのが宿命だった。やがて島の人間は少数になり、その代り島の外から札付きのズベタな女子をかっさらい、これを拉致し、これを桃姫と呼んでホスピス(島の住人)によって様々な面倒を起こさないよう教育され、最終的に桃姫は御宗家様に喰われる運命となるのだった。


この奇異な生活文化が注目され、各国要人お抱えの人身売買市場として利用されるようになった。これを「桃パーティ」という呼び名でイベント化し、世界各国の会員制ブルジョアに向けて放映し営利を肥やすという知恵の働く者がビジネスの場として利用するようになる。一方で、無法扱いで人を消す為にマフィアやヤクザがこぞってこの島を有効利用するようになり、果てには金の為に島の屋敷の社長ら姉妹がこれを奪い合うという結末になるのだった。今では島において鬼王の実力は消え失せ、物心ついたばかりの御宗家の子息を拉致監禁され人質に取られていることもあり、鬼王はヤクザや財閥らに利用され踊らされているだけだった。


まず「正道」バージョンから観るのが正当かと。「正道」バージョンは物語の説明的な筋が通っており、解りやすい。序盤、桃姫たちのエロい衣装に喜ぶ。キャッツアイさながら、パツパツのタイツのような衣装はピーチこと桃尻の割れ目までくっきり。だから最前列、2列の座席はおっさんで埋め尽くされ、きっと頭の中では妻と桃姫の桃尻のあまりの違いに落胆やら喜びやら複雑な心境だったに違いない。しかし、おっさんたちは束の間の幸せに浸ったはずだ。笑


こういうときにエライな・・、と感心するのはおっさんたちと真逆の行動をとる男子たちだ。われ先に!と髪の毛振り乱して会場に駆け込む、おっさんを横目に、冷静に3列目あたりから静かに遠慮がちに座る男子たち。この行動の差におっさん達のモテナイ理由がある。しかし、おっさん達はモテナクテいいのだ。どっちにせよモテナイのだから、今、この瞬間にいい思いをしたほうが得なのだ。つまり、モテナイということは目先に囚われることなのだ!(おっさん道!)


話しは逸れたが、今回の物語は個人的に少し幼稚に感じた。正直申し上げてあまり残虐性はない。どちらかというとコミカルな感覚。だから海賊ハイジャックの舞台にそれなりの期待をして観に行った観客は裏切られる。


また御前役の秋山輝雄の演技力が未熟だった。もっとどうにかならなかったものだろうか。むしろコメディとして観るなら楽しめたといえる。ミサゴ役の伊達由佳里の迫力が素敵で目を惹いた。好きな女優である。やはり好きな女優のひとり、川添美和だが、もっと悪玉っぽいほうが良かったような気がする。吐くセリフにズベタな迫力が感じられず、そこが残念。