みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2012/11/30(金) ~ 2012/12/02(日)
会場 王子小劇場
脚演出 林慎一郎
料金 3,000円 ~ 3,300円
サイト http://www.times2012.info/


久しぶりに良く解らない芝居を観た。たぶん、ワタクシの中では数年ぶりの快挙だ。今までにも似たような、落としどころのない曖昧で、観客の感覚に訴えるような芝居は数多く観てきた。それらは大抵、解らないなりにも終盤で、「ああ、これを言いたかったのね?」なんつって、なんとなく解明されてきた。しかしだ、今回の物語は序盤に撒かれた伏線を収束しないで投げっぱなしだったように思う。


また、劇中に「たん、タタターン、タンタン」といったセリフを役者が何度も吐く。これはいったい何なのか?と不思議に感じていたところに、幕後の主宰の挨拶で「脚本を買って頂ければ、このタン、タタターン、タンタンの意味が解ります。」と観客に向かってほざく。ワタクシ、「なんですってー!脚本を購入させる前にこれらの解明を劇中で観客に行うのが芸術作品なんじゃないかい?!」なんつって叫びたくなった。笑


だから、この芝居を観て理解不能な観客達はおのずと劇評も厳しくなるのだ。それは当然の結果であり、また、観客を小劇場の空間で置き去りにしてしまった報いでもあるのだ。前作でOMS戯曲賞受賞をした脚本家は受賞後初の新作書き下ろし!ということで、プレッシャーがあったのだろうか?


脚本家は自分の中で物語の構想を何度も練り直し、そぎ落とし、一つの作品に仕上げるまでに相当の時間を要するから、暗記も出来るくらいだろうけれど、観客はたった2時間でその物語を理解しなければならないのだ。今回の芝居はそのへんの観客の立場に立った思いやりに欠けた舞台だった。また舞台上で説明したくない場合は当日パンフで加筆すべきだったとも思う。


また、「今回はコインパーキングを題材にし、待機する場所とそこに淀む時間、消費されるおカネについて、オモシロオカシクやってみたいと思っております。」との説明書きがあったが、序盤の短編ではゲームセンターでのシューティングゲームが題材だったし、その後の短編では立体駐車場の題材があったものの、「女因コンパニオン」「エリア51」「ファナティック先輩」・・・と短編集は続くのだ。これらの繋がりもイマイチ、解らなかったし、結局薬局、主軸は何だったのかも解らないまま。