公演期間 2012/11/20(火) ~ 2012/11/25(日)
会場 ウッディシアター中目黒
脚演出 渡辺熱
料金 3,600円 ~ 3,900円
サイト http://dsu.lovepop.jp/


喜劇の王道とでも言おうか、物語はしごく正統派。元カリスマホストが経営する相談所が舞台。序盤、誠二郎(元木行哉)が元居たホストクラブでの女性客が、「ホストに行くより安いわ。」ってことで、大した相談もなく誠二郎目当てに相談に来る日々。陽だまりの中でぬくぬくと安らいだ光景から物語りは始まるが、そこに教師・秋山(渡辺熱)が自殺未遂を企て、相談所の従業員である優希(太田知咲)がこれを助けたところから本編は大きくうねりだす。


秋山には、イジメを受けていた教え子に自殺されたという大きな後悔があったのだった。相談所のカウンセラー達は四苦八苦しながら、そして自身も迷いながら、相談者の悩みを共に考えていくという姿勢をとっていたが、ワタクシ自身、「いのちの電話」でボランティア活動をしていた経緯もあって、相談を受けるカウンセラーの心理が丁寧に描かれてあったのには共感できた。確かに女性のカウンセラーには男性相談者のエッチな困った相談が多く、これが原因で辞める女性カウンセラーが多いのも事実。カウンセラーにもカウンセラーは必要なんだよね。


更にこの教師をカウンセラーとして据えるアイデアも心の相乗効果があり、中々、良いと感じた。そして意外にも納得できたのが、ホストやホステスは客の話を聞く商売だから、案外、有能なカウンセラーなんだと思い知らされたこと。そしてここで元ホストの誠二郎が有能なカウンセリングをするのだ。借金をしてヤクザに追われるホストの流星(沢城千春)や誠二郎の妹の結婚相手の姑を絡めながらの、人情喜劇だったが、終盤のロールプレイカウンセリングで泣けた。とめどもなく泣けた。


終わってみれば「いいものを観た」という感想。個人的な主観だが元木行哉がこの舞台を引っ張っていたように思う。これぞカリスマである。そして沢城千春も光っていた。次回も観たくなる劇団だ。