みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2012/11/20(火) ~ 2012/11/26(月)
会場 吉祥寺シアター
脚演出 まつだ壱岱
料金 4,000円 ~ 6,500円
サイト http://assh.info/cube2012


こりゃあ、めちゃくちゃオモチろかったぁ。笑
第一、観客を物語へ吸引する発想が愉快だったのと、幕開けからの導入音楽、キャラクター達が織りなすダンスは観ていて、ディズニーのアトラクションを想像しちゃったほど。いやはや素晴らしいものをみせて頂きました。(すっごく得した気分)


CUBEを使ったデザインで世界的に有名なアーティスト角田・キューブマスター(榎木薗郁也)宅にやってきた僕(伊崎央登)は角田によってCUBEと書かれた薬を飲まされてしまう。すると僕の心の中にある世界に入り込んでしまう。つまりCUBEを飲んで自分の心の中にトリップしたのだった。


そこでは欲望、自意識、孤独、憎しみ、ナルシスト、愛と平和の化身、記憶、怠惰、勇気、心の修復・・といったキャラクターのCUBEたちが僕を中心に存在していたのだった。このキャラクターたちのなんともユニークな設定とキャラ立てが面白い。中でもイジラレ役のピエロ(田所治彦)が実に素敵だ。アドリブも自由すぎるほど吐いてたし、何よりもすっごく楽しかった。本人曰く、初キッスをオカマのラブ&ピース(鵜飼主水)に奪い取られ、ショックを隠し切れない様子だった。笑


一方で蜘蛛女こと佃井皆美の格闘シーンが素晴らしい。鍛え抜かれた体躯で暴れるシーンは観ていてむしろ、すっきり爽やかコカ・コーラの世界感だ。


個々のキャラクター達は僕を守る者、僕を滅ぼして自分が世界を支配したいと考える者との戦いになる。僕は少し怠慢になったり、勇気を貰ったりと形成される人格によって心の内も変わるのである。狂気に偏った僕は欲望のCUBEや憎悪のCUBEを削除しようとするが、ラブ&ピースは「どのCUBEも必要なのよ」と諭す。「人の人格は複合的に組み合わさったもので、どれも僕の一部なのだから、どれか一つが欠けてもダメなのよ」と説明するのだった。


ここら辺の脚本が本当に上手いなぁ。確かに人の心は複雑だから何層にも折り重なった心の機微は、時には憎しみに負けてしまったり、時には孤独に苛まれたり、時には悲しみをこらえきれずにオンオン泣いたりするものだ。そうして時にはそれらをポジティブに変えて、もう一人の小さな自分が明るく快活な自分を支えていたりするものだ。


こうして僕は心の中のCUBEたちと折り合いをつけながら生きていこうと決心する。劇中、「迷探偵コンナン」のショート劇があったが、これもめちゃくちゃ面白い。ワタクシはまつだ壱岱のコントというか笑いの感性が大好きだが、ここでも爆笑した。そしてゴルゴダの丘の満月のシーンも組み込み、なんとなくキリストめいた想像もする。更に僕の理想の女も登場させるが、こいつがやたら暴力的な女なのだ。笑


そして角川/キューブレディ(加藤沙耶香)と角田がいちいちCUBEカーに乗って登場する場面もやっぱりアトラクションだよなー。笑
Aバージョン。夢のような楽しい世界観だった。次回も観ようっと!!