みさの小劇場ウオッチ日記
「「限定解除、今は何も語れない」+「あと少し待って」」

公演期間 2012/11/24(土) ~ 2012/11/26(月)
会場 王子小劇場
脚演出 土橋淳志(A級MissingLink)、生田恵(三角フラスコ)
料金 1,000円 ~ 3,000円
サイト http://on.fb.me/qdmlAu



「限定解除、今は何も語れない」土橋淳志(A級 MissignLink)
めちゃくちゃオモチロイ。
たぶん、好みは割れるような気もするが、この物語には万城目学著 「鹿男あをによし」のような異色ファンタジーを想像させられる。案外、この小説を元に脚本したのかな?なんて感じたほど。「鹿男あをによし」は奈良の女子高に赴任した教師が奈良公園の鹿に命を受け、日本の滅亡を防ぐために奮闘するファンタジー小説だ。


土橋氏の書いた今回の戯曲は鹿の神様の鹿子が鹿除けネットに絡まってもがいているところを人間が助けるところから始まる。鹿子は自分を助けた人間に礼を述べ、「今後、お前を守ろうぞ。」と鹿の恩返しのような言葉を吐くのだ。笑


そして場面は変わり翔平(松原一純)とその妻、今日子(新城アコ)が山で鹿を撥ねてしまう。その時、今日子は鹿の角で体を貫かれ死んでしまうのだが、この今日子が実は鹿子だったりするのだ。脚本では「室内的時間的な断裂に鹿神様が落ちた。」という言葉があったが、この時間のズレを今日子と鹿子が絶妙に演じ分けられる。そしてこれらに関係する兄と妹。


鹿と人間が戦争しているそっちの世界での鹿のリーダーが鹿子だ。このリーダーに傅く鹿五郎(幸野影狼)がやたら鹿っぽいのもウケる。笑

医者と患者の絶妙なナンセンスコメディも素敵だった。斎藤を演じた緒方晋が相変わらずのキャラクター。良い役者だと思う。
お勧め。



「あと少し待って」」生田恵(三角フラスコ)
3月11日の地震を題材に電気が復旧するまでの数日間を店長といわれる家で4人が過ごした時間を描写したもの。真山(岩住浩一)という得体の知れない男に店長の親戚だと言い含められて一緒に暮らし始めるも、4人のそれぞれの訳ありな人生を時間と共に独白していくような内容だった。


こういった大災害があっても実家に帰ろうとしない若者の心や感情の機微を描いたものだったが、不思議と違和感なく観劇できた。もしかして真山が極悪非道な行いをするのじゃないか・・。などとワクワクドキドキしながら観ていたが、そういったサスペンスな展開はなく、どんでん返しもなかったのが少々、残念だった。


好みとしては「限定解除、今は何も語れない」。