みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2012/11/22(木) ~ 2012/11/26(月)
会場 スタジオあくとれ
脚本 原作:ウィリアム・シェイクスピア、訳:小田島雄志
演出 勝俣美秋(劇団わらく)
料金 2,500円 ~ 3,200円
サイト http://wara-ku.com


序盤、いつものように歌舞伎のような能のような形で登場する彼ら。この形は一貫して舞台上で演出される。さて、マクベスといったら知らない方はいないと思うが、かいつまんで。


スコットランドの将軍マクベスとバンクォーは、ノルウェー軍を討伐し、ダンカン王陣営への帰路、三人の魔女から予言を受ける。マクベスは、コードーの領主、ついで、スコットランド王となり、バンクォーの子孫が王になるという。その直後、王よりの使者が、マクベスがコードーの領主に格上げされたことを伝える。魔女の予言が現実味を帯び、マクベスは、王位への野望を抱き始める。


夫からの手紙により、魔女の予言と論功行賞を知らされたマクベス夫人は、ともすれば気弱になる夫をそそのかし、夫は王の暗殺に成功する。しかし良心の呵責に苛まれた夫は押し寄せる妄想に苛まれる。王の暗殺を知ったマクダフとマルカムは危険を察知し、イングランドとアイルランドへと逃げのびる。


こうしてマクベスは首尾よく王位を手に入れるも子を持たないマクベスは、このままでは予言どおり、バンクォーの子孫に王位を奪われることになると、気がかりでならない。そこで父子に刺客を向け、バンクォーの殺害は果たすが、息子は取り逃がしてしまう。不安から逃れたい一心で、マクベスは魔女の洞窟をおとずれ、自分の将来を予言してもらうがそこで耳にするのは、「バーナムの森が動かぬかぎりマクベスは滅びない」という予言だった。


マクベスはマクダフに刺客を向け、マクダフ夫人と息子を殺すが、マクダフはすでにイングランドへ逃げのび、マルカムとともにマクベス討伐の準備をしていた。

一方でマクベスの居城では、気丈だったマクベス夫人が、毎夜、眠りながら歩き回り、まだ手から血のにおいが消えない、血のしみが消えないと、深いため息をついている。悪夢のなか、夫人がもらす寝言から、お付きの者たちは、王夫婦が犯した大罪を知って、おののくのだった。


戦いがはじまると、マルカム軍が兵力を隠すために身に付けた木の枝をバーナムの森と勘違いし、森が動いたからはこれまでと、死の覚悟を決めて戦う。最後、マクダフとの一騎打ちで、マクダフが「女」から生まれたのではなく、月足らずで腹を裂いて生まれたと聞かされ、はじめて魔女のことばにまどわされてきた自分に気づく。斬りとられたマクベスの首が全軍に掲げられ、マルカムが高らかにスコットランド王即位の宣言をして、戯曲は終わる。


・・と、まあ簡単な粗筋はこんな感じだが、今回の舞台は戯曲に忠実に演出されていた。なかでも3人の魔女とその手先の3人が実に素晴らしい描写だった。妖しげな空気を身にまとい、幻想的な言葉を吐くかと思えば、一転してエロな魔女に早代わりするのである。また、彼女らが踊るダンスも素敵だ。そして導入音楽もいい。マクベスのような戯曲には壮大なクラシックを導入すると想像しがちだが、それに反抗するような楽曲、「地上の星」なんかを投入する。笑


また劇場の両サイドに設置された赤い蝋燭の炎。芝居が終わった合図が、この蝋燭の消える時である。中々の演出。面白い!