みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2012/11/01(木) ~ 2012/11/04(日)
会場 王子小劇場
脚本 伊東祥宏
演出 伊東祥宏
料金 1,000円 ~ 2,500円
サイト http://fttkmono.web.fc2.com/top.html

長男(大森創)、次女(七野洋子)、三男(広井龍太郎)の三人が母をたずねて、日本中を旅する物語。タイトルのまんまの物語だ。三人は親戚や、知人、母の足跡を訪ね歩く旅なのだが、メロドラマのような感動的な展開はない。むしろ淡々と母を尋ねて三千里だ。しかも旅の乗り物は電車や像やタクシーやらくだだ。感想としては案外楽な旅でなんだか楽しそうだ。だから、アニメのキャラクター・ネロのような切なくて号泣する場面は殆ど無い。


三男が像に指を踏まれて小指が千切れた場面でさえも、決して絶望的な展開ではないのだ。だから、観てるこっちも、やれやれ・・薬でも塗っておけばだいじょう~V!なんつって軽く笑って腕組んで見過ごしてしまうのだ。


そして、そこそこやっとの思いで、母に逢えた三人には、これまた感動的に、ヒシっと抱擁し涙を流すドラマは無い。母(中里順子)は男3人に囲まれ布団に寝ながら三人を迎える。次女は母に出て行った理由を聞くも、母は淡々と答える。


「それってそんなに大事?答える意味も良くわからないし・・。」そして20年前に捨てた夫の名前も忘れている。苦笑!

そして「あなた達を捨てて生きてきたこの自分の人生が大好き。」とホザク。次女はこの言葉を聞いて、20年の時をどのように思ったことだろう。不条理劇だ。


その後、母は新興宗教で捕まり、獄中で自殺したという。母を訪ねた三人は「ちょっと変わった人だったよね」と、これまた他人事のように呟くのであった。


ふつつかもの産「愛と感動の旅行記」。とのキャッチだったが、愛とか感動とか、あまり感じなかった。旅に出た三人が半ば意地になって、途中下車できない心境に陥り母に逢えたが、普通の人ではなかった!みたいな、何処までも平坦な感情の物語だ。


ナンセンスといえばナンセンス不条理だが、強いて言うなら、もうちょっと笑いどころが欲しかった。