みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2012/10/21(日) ~ 2012/10/28(日)

会場 Geki地下Liberty
出演 時津真人、吉平誠、西村真、藤井太一、長谷川葉生、相良長仁、蔵田ちひろ、立石脩、昼間ガエタン貴明
脚演出 イデヨシフサ
料金 2,000円 ~ 6,500円

サイト http://bakutenfilm.com/


「一人+二人芝居の連続。一人一人の演技力が試される。」・・とあるように確かに序盤から1、2人の芝居だった。こういった場合演技力もさることながら、舞台の空スペースが気になってしまうのはワタクシだけだろうか?


かつての熱い舞台「赤紙」を観て獏天フィルムのファンになったワタクシとしては、なんとなく寂しい思いがした。だから、当日アンケートにあった、「再演希望作品は?」という項目は「赤紙」なのである。


遺品回収業のアルバイトをしている由紀夫(時津真人)が、ある老人の遺品であるUSBを持って帰る。しかし、そこには―草加次郎の告白と書かれた手記が入っていた。昭和の爆弾犯、草加次郎。数々の事件を犯しながらついに捕まらなかった男の手記があったのだ。『私は昭和の爆弾魔草加次郎だ。警視庁の庶務課に勤めていた・・・』


その手記を由紀夫は雑誌編集の正道(相良長仁)に売ろうとする。その仲介役を、小学生の同級生だった道夫(石立脩)が、そしてこれに公安警察が絡み公安の満田文雄(藤井太一)の妻である心療内科医のかおり(蔵田ちひろ)との離婚話が浮上する中、かおりを一方的に想い、のぞき見する羽生(吉平誠)。


由紀夫の恋人である地下アイドルの美玖(長谷川葉生)の妊娠、一方で由紀夫には誰にも言いたくない過去(妻と子を失った)があり、それを封印し戸籍を変えていた・・・。様々な人間がその影響を少しづつ受けて人生を大きく変えていくのだが、USBによる事件よりも人間模様に主軸を置かれていたような気がする。


丁寧に描かれてはいたのだが、登場人物の人間描写に比重が置かれすぎて、USBの事件性が軽く扱われた結末になっていたような感覚を受けた。だからもっとバイオレンス的なアクションが欲しかったし、草加次郎を絡めた設定がもっと観たかった。


また、見せ場のアクションで役者のウケが先に待っていてそのあとに金属ソードが落ちるという、なんとも練習不足が目立ってしまっていた。更にイマドキの公安は銃を使うので金属ソードで戦うシーンはちょっと違和感があったが、まあ、金属パイプで戦うか、あるいは木刀、刀で戦闘しないと舞台的な見せ場はないのだ、と納得。


物語は入り組んではいるが、キャストらはもうちょっと自信た~ぷりぷりに演技してもいいんじゃあないかなぁ。自信なさそうな態度が観客に、・・というかワタクシに伝わってきて、その分、ド迫力に欠けた。


★★★★☆