みさの小劇場ウオッチ日記

公演期間 2012/10/17(水) ~ 2012/10/22(月)
会場 王子小劇場
出演 稲川実代子、熊谷ニーナ(劇団一の会)、辻川幸代(ニュアンサー)、黒岩三佳(あひるなんちゃら)、板倉美智子(ハナウタカプセル)、瀬戸口のり子(ニュース)、堀暁子、千田里美(ハッスルマニア)、代田正彦(★☆北区AKTSTAGE)、西山竜一(タテヨコ企画)、舘野完(タテヨコ企画)、高橋康則(マーク義理人情)、岡﨑智浩(マーク義理人情)、村田与志行(ボタタナ・エラー)、吉川湖(ハッスルマニア)
脚本演出 菅間勇
料金 1,000円 ~ 3,500円


サイト http://sugapo.sakura.ne.jp/




さて、流石は菅間馬鈴薯堂!結構小難しい!笑

舞台から延びる客席奥から舞台上手へ斜っかいに接続する花道。この花道を傘をさして通る老女6人の和服姿がなにかしら秋の三日月に吸い込まれるような情景を想像して、いと美しい。幻想的な場面である。

全ての場面構成としての構造はイメージで操られ、だからこそファンタジックに溢れた大人の童話的な舞台だった。そしてこの物語に溶け込むような導入音楽も素敵だ。


東京スカイツリー夜の見学会の為に隅田川近くの東京都荒川区内の介護老人施設を抜け出した老女6人。彼女たちの脱走の手伝いをしたのがオカマのガイドら。スカイツリーの最上階はまるで月夜の天上世界のようだ。老女らに放つ「みんなかぐや姫だぞ!」とのガイドの言葉に胸躍らせながら、こうして彼女たちは洒落た夜会を楽しんでいる。


場面は変わって、前日。介護施設の裏門近く、隅田川の川辺でキヌサヤ君とニガウリ君を老女は見つける。どうやらフンボルトペンギンのようである。笑) 彼らが、谷川俊太郎の「母を売りに」の行をセリフるあたり、姥捨て山と介護老人施設をかけてるようだ。ここでキヌサヤ君とニガウリ君の言葉から天岩戸を見てみたいと思いついた6人は皆で示し合せ、スリリングな夜を楽しむために思わぬ行動力を発揮しようとしていた。


一方、施設では彼女たちが居なくなったと大騒ぎになり女医が探偵に捜索を依頼する。


暗転して夜会。淋しい蛍男二匹と超人ハルク・ハルコ兄弟による「年上女蛍と年下男蛍の結婚編」、「町のお弁当さん編」など小ネタコントが炸裂するもこれは天岩戸を開けさせるためのネタのようだ。それでも婆達の「秋の夜の宴」は宴たけなわで、東京スカイツリー、天望回廊第二展望台にやってきた婆達は眼下に広がる、東京の夜景を見て「東京タワー!六本木ヒルズ!レンボー・ブリッジ!」と歓喜の声をあげるのであった。


そしてここで婆達による歌会が開かれ、「早や、八十路へと至り、やがて、この身も泡沫と消えまするが、住み難きこの世に、一条の光を取り戻すべく、「天の岩戸、力ずくでも開こう会」を立ち上げ、東京スカイツリー、展望回廊へと参じた次第でございます。」との合図とともに「秋の園遊会」、婆の歌会「糸瓜(ヘチマ)会」が執り行われるのであ~る。笑


なかでも、辻征夫「貨物船句集」や尾崎放哉や栗木京子、正岡子規の歌を登場させるあたり、なんとも学識の高い婆達なのであった。笑


こうして気を良くした婆達はスカイツリーに忍び込んでるというスリリングな心持ちに加味させ誕生日会などという楽しみも行いながら走馬灯のように昔の思い出に浸っていたが、東京スカイツリーが、ガタピシ揺れガラスの破壊音が響き渡ったかと思うと同時に硝子の壁が割れ天の岩戸が動く巨大な音を聞く。ここで新日本風土記も取り入れ、物語を膨らます。


かくして、婆達は一昨々日、尾花沢の銀山温泉で、無銭飲食で捕まり、荷物から、施設が割り出され、無事に保護されたが、失踪時の二週間の記憶が、まったくないという。


施設を抜け出し死ぬ前に夢のような旅をした老婆らのお話でファンタジーコメディのような舞台だった。死ぬ間際にこうしてバカやるのもいいかも。笑