みさの小劇場ウオッチ日記

公演の詳細はこっち→ http://engekilife.com/play/23872/review


創立378年の結城座というのだから、確かに歴史のある人形劇なのだろうけれど、本来、人形劇というものは人形の顔が見えてこそ楽しめるものなのだと思う。人形の体長が40cmくらいだったように思う。意外に小さいなってのが印象。実は日本橋で伝統芸能だという歌舞伎の人形劇を観たことがある。それは人形の体長が120cmほどあったから、ほぼ小学生ほどの大きさがあった。それに比較するとなんと小さいことか・・。


客席後方から観てると、ほぼ人形の顔は見えない。想像に任せて観るほかないのだが、物語の内容は原作を生かしきれてない内容で魅力に欠けた。更に人形を操る人間が黒子ではなく人形と同じ顔をもち人形と同じ服を着た演者たちだ。これなら何も人形劇でなくてもいいんじゃないかって感じた。


だから総じて全ての人形が登場したシーンなどは人形と同じキャラの演者も当然、登場するわけで、演者の足元に隠れるように人形が立つという滑稽さ。更に生演奏に役者らのセリフがかき消され、この日は役者らのカミが目立ち、先走ってセリフを言っちゃう場面もあったりで、総括するとあまり期待通りではなかった。生演奏もああいった音楽ではなく古典的な音楽(琴、鼓など)のほうが人形芝居という構成には合っていたような気がするのだ。


舞台は1930年代の真珠産業に沸く港町オーストラリア・ブルーム。そこでは日本の太地町出身者がダイバーとして産業を支えていた。酒と博打に明け暮れる荒っぽい男たちの間で巻き起こる、謎の美女ミス・タナカをめぐって3人の男たちが翻弄されるストーリーだ。和彦の父親である佐一は博打で大枚を負け越し、息子の和彦をその抵当に売るという契約をしてしまう。困った和彦は佐一と組んで田中佐一の姪と名乗る謎の美女「ミス・タナカ」に化けて3人の男たちから散々貢ぎ物や金を巻き上げ、挙句、とんずらしてしまうという、つまり詐欺師の物語だ。


「ミス・タナカ」は彼女を一目見た男たちを虜にしていくという魔術的想像力に満ちたコメディだ。正直申し上げて人形にその色香はなく、むしろ人間が演じる舞台で観たいと思った。また予約をして観に行ったにも関わらず、チケットがないというずさんなスタッフの対応にも×