児童相談所からの突然の連絡内容は、「特別養子縁組」として、預けたい子がいるという内容でした。
私としては、「特別養子縁組」というのは、滅多にない貴重な話しであるという認識を持っていました。
また、ここまでだいぶ長い時間待ちました。
この連絡が来た時点で、引き受ける気満々でした。
児童相談所の話しによると、正式に預ける状況にならないと、詳細は伝えられない。
なので、今伝えられる範囲で伝えるとのこと。
子供は、もうすぐ2歳になる女の子。
生まれつき心臓に病を抱えており、定期的に病院受診が必要な状況。
両親はどちらも知的障害がある。
現在、親は母親のみ。
母親の家族もいるが、かなり高齢。
母親が子供を養育しきれない状況である。
母親自身、その自覚がある為、養子縁組をして預けたいと希望しているとのこと。
この情報を受け、養子縁組が可能かどうか、早めに返答を頂きたいとのことでした。
待ちに待った話しなので、私は有頂天になっていました。
しかし、妻の反応は微妙でした。
妻はこの時、年齢が40代後半。
この年齢がずっと悩みの種でした。
今まで書いていませんでしたが、妻は年齢が高いので、子供が自立できるようになるまで、支えきることができるのかという不安を常に感じていました。
なので、将来的にある程度自立を見込める子供を預かりたいという希望を持っていました。
これは、里親達が集まった時にも話しており、児童相談所の職員、乳児院の職員さんにもそう話し、考えは伝えてはいました。
この女の子を迎え入れる考えた場合、まず引っかかったのが、両親共、知的障害を持っているという点でした。
必ずしも子供も知的障害を引き継いでいるとは言い切れないが、知的障害の強い可能性を感じた。
私達夫婦は、一時期同じ職場で知的障害の方の対応していたことがあります。
その時に関わった知的障害がある方は、親も子も障害があったパターンしか見たことがありませんでした。
様々なトラブルを見てきたので、知的障害がある方と関わっていくのが、いかに難しいのかも身をもって知っていました。
その為、もし強めの知的障害が確認された場合、支えきる自信がない。
また、女の子は心臓に病気を持っている状況。
養子縁組をすると、もう後には引けない。
考えうる悪い予想の通りになってしまった場合のことを考えると、安易に引き受けることができないと妻は考え、判断に困っていました。
ここは夫婦二人とも同じ考えだったのですが、この養子縁組の依頼を断った場合、次はないだろうと考えていました。
私としては、普通に生まれてくる子供も、何があるかわからない。
それに、この女の子も障害があると決まっているわけではない。
病気も、治療を続けていれば治るかもしれない。
それに、最初で最後のチャンスだと思うと考えて、前向きに預かる方向で考え、意見しました。
妻も数日悩みました。
その後、児童相談所に連絡し、養子縁組を受けると連絡をしました。